大分県別府市で大学生が車にはねられ死亡した「別府ひき逃げ殺人事件」は、発生から3年がたった。しかしこの事件には、重要指名手配となっている八田與一(はった よいち)容疑者が別府の町から忽然と姿を消し、解明できていない謎が多く存在している。
刑務所で凶悪な殺人犯など、1万人以上の心理分析を行った犯罪心理学者で東京未来大学副学長の出口保行氏は事件について「今回のようなケースはほぼない。加害者と被害者の面識率は90%を超える。知り合いの中で殺人は起きる。通常の“殺人のセオリー”で、この事件を説明することは非常に難しい」と語る。
シリーズ累計110万部を突破した『もぐら』など警察を舞台にしたミステリー小説を数多く手がけ、日本推理作家協会に所属する作家・矢月秀作氏は、通った高校は別府で、事件現場にも近く、土地勘がある。「タイトルは『神は悪魔を隠さない』。“神隠し”と言うが、神は悪魔を隠さない。必ず見つかる。『九州を出て本州をウロウロしている』が今定説になっているが、意外と出ていないのではないか」。
事件当日、八田容疑者は16時9分ごろ、ショッピングモールにある店でコップを購入していた。その後、その場を立ち去り、3時間半後の19時40分過ぎ、大音量で音楽を流しながら再び戻ってきた。そして、その2分後に事件が起こった。
なぜ大音量の音楽を流していた?
