辞めた会社に“出戻り”「アルムナイ採用」とは
【映像】「アルムナイ制度」を導入する企業(一覧)
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 「会社にも個人にもメリットがある仕組み」などと、急速に注目され始めている「アルムナイ採用」とは。専門家に聞いた。

【映像】「アルムナイ制度」を導入する企業(一覧)

 英語で「卒業生」や「同窓生」を意味し、このアルムナイに特化したコミュニティの構築や、再雇用制度を導入する企業が相次いでいる。

 終身雇用が当たり前だった時代は、会社を辞めた社員は“裏切り者”と見られる風潮があり、元いた会社には戻りづらい現状があった。今、大手企業などを中心に導入が進むアルムナイ制度では、退職後も、企業や元社員同士のつながりを維持することで、人材の価値を最大化できるという期待が広がっている。

 企業にとって、人材採用の懸念材料となっているのが、採用や教育にかかるコストや、採用者とのミスマッチである。しかし、その会社の業務内容や社風をよく知る元社員であればその心配はいらない。一方で数年離れた職場で本当に即戦力として活躍できるのか、「辞めても戻れる」というイメージの定着によって退職へのハードルが下がってしまうという懸念があるのも事実である。

 アルムナイの採用に向け、SNSを活用した情報交換や同窓会のようなイベントで交流を続けることで、戻ってきやすい社風を目指す企業が増加している。東京都が2024年度からアルムナイ採用を実施するなど、自治体での取り組みも進んでいる。

 普及が進む中、大事になると言われているのが、どのような「辞め方」だったのかである。具体的には何に気を付ければいいのか、専門家に聞いた。

 山田進太郎D&I財団COO・石倉秀明氏は、出戻るときに重要なのは「退職者の過去の辞め方」と「企業の過去の辞められ方」だと主張する。

「辞め方については『犯罪をしない』程度だが、辞められ方のほうが重要で、辞めるときの会社側の対応が大事だと思う。辞めると言われたときに、『もっと一緒にやりたかったな。でも応援するよ』と送り出すことができている会社と、『お前なんかどこ行っても通用しないぞ』と、転職したこともない上司が言う会社とで将来の採用や印象も変わるだろうし、会社の信頼を失っていく行為でもあるため、辞めるときのお互いの姿勢は重要。私は、辞める側よりも辞められる側のほうが問題が多いと思う」

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