■世界が注目する自動運転、日本の現在地は?
日本国内で活躍する主な自動運転バスサービス事業としては、BOLDLY(岐阜市、茨城・境町、愛媛・松山市など実施)のほか、日産(みなとみらいにて無人で実証実験)、先進モビリティ(東大発。大阪万博や茨城・日立市で導入)、Tier IV(長野・塩尻市、神奈川・川崎市などで運行)、T2(高速道路向けのレベル4トラックやバスを開発)などが手がけている。
モビリティジャーナリストの楠田悦子氏は、「自動運転バスは、欧米では企業や政府が主導しているが、日本では自治体が主体だ。民間主導の自動運転は、バスやタクシーを自動化するだけで、あまり大きなイノベーションが起きない。本当に変えたいのは、自動運転用の道路や信号制御、街やクルマのあり方であり、自治体と組んでいる日本には、まだ面白みがある」と期待を寄せる。
BOLDLYの佐治友基社長が、自治体主導のメリットを語る。「サンフランシスコでクルーズ事故が起きても、『それは企業が勝手にやっているから』と、なかなか運航再開の許可が出ない。しかし自治体なら、原因と対処法を説明すれば、翌日から運航再開できる。レベル4(特定の条件における運転者なしの自動運転)の社会実装プロセスも、日本では国交省や警察・公安が許可を出した後、最後は自治体の首長が判断する。『ショボい車でも走らせる』『高級車でないとダメだ』という意思決定は、自治体に任されている」。
文化通訳でシンガーソングライターのネルソン・バビンコイ氏は、「アメリカでは、州ベースで異なる法律を定める。自治体が起業させて、『あそこはカッコイイ』『面白いことやっている』と、地域活性化につながれば最高だ」と話す。
■自動運転、どこまで受け入れる?
