女性候補が望ましい⇔勝ちそうなのは男性 “思い込みのズレ”女性やリベラル層に強く表れる?

明治大学政治経済学部の専任講師・加藤言人氏
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 有権者が「個人的に望ましいと思う候補」と「選挙で勝ちそうな候補」との間に起こる考えのズレのことを、研究の中では「選好―期待ギャップ」と呼んでいる。この差は、リベラルな思想を持つ人、そして女性のほうにより強く表れたと話す。

「ジェンダーに関してより保守的な価値観を持っている人と、よりリベラルな価値観を持っている人の中での『選好―期待ギャップ』の傾向の差を見たところ、選好に関してはやはりリベラルな人のほうが、より女性候補者を好む傾向が見られたが、『期待』のほうに関しては差が見られない。ギャップの観点でいうと『選好―期待ギャップ』というのは、よりジェンダー的にリベラルな価値観を持つ人のほうがよりギャップが大きいことが分かった」

「あとは性別でも分けて分析をしたが、性別の結果が非常に興味深い。これは意外だったが、男性よりも女性の回答者のほうが女性の候補者を好みやすいというのは、期待されている傾向として現れたが、どちらが勝利しそうかという質問を聞いたときに、実は男性回答者よりも女性回答者のほうが、女性が勝ちにくいと思っている傾向がこの研究では見られた」

 この研究は、女性が増えにくい日本の政治の背景に、「戦略的差別」があることを示唆しているという。

 戦略的差別とは、選挙で、ある候補を好ましく思っていても、その候補が当選する可能性が低いと認識した場合、代わりにより当選が期待される別の候補の支持や支援をすること。

「勝ちやすい候補者に投票することで、自分の一票を無駄にしないという行動を取る有権者のことを、戦略的差別を行っているという」

「戦略的差別」の背景に「勝つのは男性」の思い込み?
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