「戦略的差別」の背景に「勝つのは男性」の思い込み?

「戦略的差別」の背景に「勝つのは男性」の思い込み?
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 加藤氏の研究グループは、今回明らかになった有権者の「思い込み」の傾向が「戦略的差別」の行動の背景にあると考えている。

 研究の結果から、世界的に見て、日本が不平等な価値観や意識を持っているわけではないと話す加藤氏。これからの選挙や投票における、今回の研究の意義を強調した。

「例えば、この人は女性だから票が集まりにくいのではと思って、その人への投票や支援をためらう必要はないし、実は自分が思っているよりも良いパフォーマンスを出すかもしれない。それは候補者のリクルートメントの段階でも同じように、自分が思っているよりも実はより有権者に支持されているかもしれないと認識するだけでも、この研究の意味があるのではないかと思っている」

 この研究結果にニュース番組『ABEMAヒルズ』のコメンテーター、精神科医でスポーツメンタルアドバイザーの木村好珠氏は「納得」と話す。

「実際、何年も前から女性が活躍すると言われている。男女共同参画社会基本法は、そもそも1999年の話。もう26年という月日が経っているので、この政治の世界は女性の活躍は遅れているイメージ。新しい内閣ができたときに、女性が多いなというイメージはあまりない。本来であれば、少なくとも40%はいてほしい。それがまだそこには至らない。むしろ数えられる程度というのは、政治の社会の遅れ」(木村好珠氏、以下同)

 今回の研究では、戦略的差別につながっている可能性があるというが、木村氏は次のように分析する。

「心理学の中でも“アッシュの同調実験”というものがある。正解、不正解がわかりやすい問題を、サクラを入れてどっちが合っているかと質問をしてみる。不正解のほうに、サクラ側が全員正解だと手を挙げると、正解がどちらかは明らかなのに、人々が不正解のほうを選ぶという実験。人間の心理は、こっちのほうが正しいよねと思ったとしても、大勢の人が賛同した方が正しいのかなと同調してしまうというのは基本の心理にある」

「思い込み」は有権者だけではなく、政党側にも?
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