■一度パイプカットをすれば「再建は難しい」

 木戸クリニック院長の木戸雅人氏は、「精巣で作られた精子が、精液に混ざるにあたって精管を通る。その精管を縛って切ることで、精液の中に精子がいなくなる。男性側の体をいじることで、確実に避妊できる唯一の方法だ」と説明する。

木戸クリニック院長の木戸雅人氏
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 木戸クリニックでの手術時間は30~40分ほどで、費用は約8万円。受診年齢は平均39歳(20歳~66歳)、これまで合計229件を手術した。2022年が34件、2023年が33件、2024年が29件で、2025年は7月8日時点で38件と、今年は増えているという。

 訪れる人々について、「何人か子どもがいる経済的な理由がある人や、2人目の出産で妻が大変な思いをして、医師から『3人目は絶対にやめなさい』と言われるパターンなどがある」と紹介する。「『性欲が落ちるのでは』と言われるが、基本的に影響は出ない。体調が崩れることも知る限りではない。人体を改造するため、多少の違和感を覚える人もいるが、なんともない人がほとんどだ」。

 デメリットもあり、一度手術をすると基本的に元に戻すのは難しい。精管の再吻合手術もあるが、「手術そのものの難易度が高い」「再吻合しても、精管の機能が低下している」といった理由から、通常の方法での妊娠は難しくなるそうだ。

 手順としては「本人に『どういう経緯で手術を受けたいのか』や家族の背景を質問し、同意書を取って手術を行う」ものの、「来院した人が『やっぱりやめる』ということはあまりない」という。

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