アレルギーが出ない卵?大学で実験
食品成分などの分析設備を持つ、名古屋学芸大学・管理栄養学部の内藤宙大助教に、実験をしてもらった。
卵アレルギーの主な原因は卵白のタンパク質で、代表的なものには4つの種類がある。今回は、「アレルギーが出ない」などとされている卵と普通の卵で、その組成に違いがあるのかを調べた。
実験に使ったのは、「アレルギーが出にくい」と謳って販売されているA社の卵、「平飼いの卵」として売っている一般的な卵など、計5種類だ。
実験は電気泳動という方法で行った。網目状のゲルに卵の試料を通過させると、タンパク質を分子の大きさで分けることができ、組成が可視化できる。
その結果は…「5つの卵全てでタンパク質組成は変わらず、ということが読み取れる」(内藤助教)
実験結果を学部長の和泉秀彦教授が次のように解説する。
「主なアレルゲンには、オボアルブミン、オボムコイド、オボトランスフェリン、リゾチームというタンパク質がある。どの卵にもすべてのタンパク質が入っていて、卵によってタンパク質の組成が大きく変わることはない。基本的にどれかがなくなったり、どれかが増えたりすることはない、ということが明らかだ」(和泉秀彦教授、以下同)
「実際にタンパクレベルからの話をすると、タンパク質そのものが入っているので、それに対してアレルギー症状を起こしてしまう」
「アレルギー出にくい」検証の“解析結果”
一方で、世の中のすべての卵を同様に実験できるわけではないため、これからもさまざまな効果を謳う卵が出てくる可能性もある。
「それは論文化されたデータを元にして言っているのか、ただ1人や2人の例で言っているのか、全くわからない。ただの1例や2例がネットに上がっているだけでそれを信じるのは危険だ」
今回の分析結果をA社に伝えたが、見解は変わらないということで販売は続いている。
「“アレルギーが出にくい”という表現は、正直なところグレーであることは存じておりますが、表現しても良いのではないかと現在、掲載しております」(A社担当者)
法に触れる可能性は?

