■「怠けていると思われる」当事者の“二重苦”

外見から伝わらない主な症状
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 症状には程度もある。軽症(約3割)の場合、軽作業は少しできるが自宅休息が適宜必要。症状悪化を自覚し、回復に24時間以上を要し、時には1週間以上かかることもあり寝たきりになる。中等度(約4割)では、日常の軽作業ができず、週の半分以上は自宅休息が必要となる。そして重症(約3割)は、介助者を必要とし寝たきり又は寝たきりに近く、全く歩けない人もいるそうだ。

 篠原さんは、1990年(32歳)米・留学中に発症し、MEと診断された。1996年に帰国したが、医者から「考え方さえ変えれば治る」と言われた。しかし2005年(47歳)、ほぼ寝たきり状態になった。2010年(52歳)日本で「筋痛性脳脊髄炎」と診断され、2012年に「NPO法人 筋痛性脳脊髄炎の会」を設立。現在は理事長として海外情報の翻訳や認知活動に尽力している。

 当事者の悩みとして「怠けていると思われるため、患者自身が病名を隠していることが多い。重症患者が何週間も体調を整えて、ようやく外出しても『元気そうね』と言われて、返す言葉がない。無理して出掛けて、翌日から何日も寝込むこともある。病気に加えて、周囲の理解がない“二重苦”がある」と明かす。

 さらに「障害者手帳を取るのも困難だ」という。「神経内科医などの認定医、なおかつこの病気を理解して、診断書を書いてくれる医師はごく少数。重症患者は遠くの病院へ行けず、診断書も書いてもらえないため、本当に苦しんでいる」。

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