■「教員は今たたかれやすい状況」

ササキさん
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 公立高校の現役英語教師であるササキさんは、生徒の指導方法について、日々苦労している。「校内暴力やガラスを割るなど、荒れている高校に何年も勤務してきた。生徒同士がケンカや暴力沙汰になった時に、教員は生徒の安全を守る責務があるため、まずは止めに入ることを考える。必死に抑えて、それが暴行だと言われたら、私たちに何ができるのか。ただ見ているだけでいいのか」。

 流通経済大学の鈴木麻里子教授は、今回の無罪判決について、「妥当だろう。懲戒権は、学校教育法第11条で定められている、児童・生徒に出席や宿題を課す権利だ。重いものとしては、校長による退学・停学・訓告処分もある。日常の中で児童・生徒によるトラブルや、法に触れる行為がある場合には、その場で教師が処分してよいとなっている」と語る。

 しかしササキさんによると、「教員は今たたかれやすい状況にある。懲戒権で宿題を出しても、それが苦痛で『学校に行きたくない』『先生が怖い』となれば、教育委員会は宿題を“本人ができる最低限の量”にするよう求めてくる。子どもや保護者から『傷ついた』と言われると、謝るしかない」といった境遇なのだという。

■実際の教育現場は?
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