■実際の教育現場は?

今の指導について
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 教育現場の現状としては、「課題は大量に出さず、必要な最低限のみにしている。夏休みの宿題も数ページで、『家庭でしっかり学習してほしい』という意味を込めているが、それでも提出してこないため、こちらが下手に出て『出してください』とお願いする」と説明する。

 授業中のスマートフォン使用にも悩む。「授業中にゲームしている生徒がいるが、授業は勉強する場のため当然禁止だ。そうした際に、教員はスマホを預かるよう、管理職から求められている。しかし預かる時に、暴力を振るったり、逃げ回ったりすることがある。管理職からは『殴られちゃうとダメだから気をつけてね』と言われる」。

 教員としては「法的に責められると厳しい。『校則でルールを定めている』と言っても、『法的には、表現の自由や人権の侵害だ』と言われると、苦しい立場になる」といい、「学校の外に出れば、社会には法律的に責められる余地が多い。教師は法的に『教育をつかさどる仕事』だが、具体的な中身は明記されていない。やらなければいけないことも、どこまでできるのかも曖昧になっている」と話す。

 具体例として、校内での紛失を挙げる。「みんなが丸く収まればいいが、教員は警察ではないため、生徒のものを勝手に探すのは、プライバシーの侵害だ。『犯人捜しのためにカメラを教室に設置しよう』と言えば、明らかな権利侵害になる。リスクは正直ある」。

■「教員はだんだん無関心になっていく」
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