急展開が待っていたのは最終盤だった。後手が先手玉にプレッシャーはかけるものの分かりやすい寄せが見つからない中、先手から97手目に▲4三金という手が飛んだ。これを永瀬九段はすんなり△同金と応じたが、これがまずかった。▲3一飛成と王手をしながら竜ができた瞬間、控室で見守っていた藤井竜王・名人は「え?ええ!?これ来たんじゃないですか?」と興奮気味に声を出した。

 ここから指し手進み、▲2六飛車と打ち込んだ手が絶好の王手馬取りに。永瀬九段は大事な攻め駒だった金で合い駒するしかなく、ボロッと馬を抜かれる展開に思わず天を見上げて、頭に手を置いた。ここが勝負の分かれ目になり、その後は古賀六段が優勢を拡大、123手で勝利を収めた。

 ファンからも「事件は盤上で起きている」「事件でーす」「きてます」「わ、これはすごくない?
」と逆転劇に対するコメントが流れる中、痛恨の負けを喫した永瀬九段は頭をかきむしるような仕草の後、すぐに対局場を後にしていた。

ABEMAトーナメント2025 第1、2回が個人戦、第3回から団体戦になり今回が8回目の開催。ドラフト会議にリーダー棋士7人が参加し、2人ずつを指名、3人1組のチームを作る。残り1チームは指名漏れした棋士が3つに分かれたトーナメントを実施し、勝ち抜いた3人が「エントリーチーム」として参加、全8チームで行われる。予選は4チームずつ2リーグに分かれ、上位2チームが本戦トーナメントに進出する。試合は全て5本先取の9本勝負で行われ、対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。
ABEMA将棋チャンネルより)
 

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【映像】藤井七冠は弁当、佐々木八段はパフェ!?対照的なモグモグタイム
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