7月上旬、トランプ大統領が日本側に突きつけた関税率は25%。今回の合意では、そこから15%に引き下げられたものの、日本は、政府系金融機関の出資・融資、融資保証による最大で約80兆円の投資を行うなどの見返りを求められることになる。
一方で、焦点の一つであった自動車への関税は既存の税率を含め15%まで引き下げることで決着した。しかし、元々の関税率は2.5%。これまでのトランプ関税の影響などによって、三菱自動車は、4~6月の最終的な利益が、前の年の同じ時期から97.5%減ったと発表するなど影響が広がっている。
野村総研 エグゼクティブ・エコノミストの木内登英氏は、「来年にかけて日本経済が後退局面に陥る可能性が5割程度ある」と分析している。
「日本のGDPが1年間程度で0.55%下げられると試算している。25%だと0.85%でそれより小さくはなるが、日本の平均の成長率が1年分くらいなくなってしまう」(野村総研 エグゼクティブ・エコノミストの木内登英氏、以下同)
この影響は、普段の生活にいつ頃、どのように表れてくるのだろうか。
「場合によっては実質賃金の下落幅がより大きくなってしまい、個人消費に逆風になるのではないかと思う。そして来年の春闘になると賃上げ率が落ち、大手企業に勤める人も来年は賃金があんまり上がらない感覚を持つようになり、結果として個人消費を全体として控える動きになる可能性がある」
「日本は“踏み台”で本命は…」投資80兆円の“認識”で日米にズレ?
