■「確かに犯罪を犯したが、被害者の側面も」 実名・顔出し報道の是非

 この問題に対し、元新宿区議会議員のよだかれん氏は、まず「立ちんぼ」と彼女たちを呼称する言葉自体が暴力的であると異議を唱える。お金を介して相手を支配できる状況は“暴力”であり、「性売買は性暴力だという認識を共有したい」とコメント。その上で、「確かに犯罪を犯した面はあるが、被害者という側面もある」と主張した。

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 女性たちが性売買に追い込まれる背景もあるという。「家庭的に恵まれず社会の中で孤立していたり、教育と就業の機会に恵まれなかったり、境界知能や精神的な疾患を抱えている方もいる。新宿区議として活動していた中で、そうした女性たちが利用されていると感じる場面が多かった」。社会活動家の山本昌子氏も、虐待から逃げて身分証を持たないために、合法的な仕事に就くことが難しい子がいることに言及し、違法行為だと知らずに性売買を始めてしまうケースもあるのではと推察した。

 実名・顔出し報道については、よだ氏は基準が法律等で決まっているわけではなく、メディアや媒体の社内判断に委ねられていると指摘。「報道側が意図的に晒しているような、センセーショナルに扱うために取り上げた印象も受ける。そこはこの機会に考えていただきたい」と訴える。

 弁護士で衆議院議員の藤原規眞氏は、売春防止法の罰則「売春相手の勧誘:6カ月以下の拘禁刑or2万円以下の罰金」「売春場所の提供:3年以下の拘禁刑or10万円以下の罰金」を踏まえ、同様の罰則の犯罪で実名報道されることは「まずない」と指摘した。

■女性らの「悪質性」は?
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