■「犯人に更生は求めていない。反省して、反省して、死んでほしい」

 刑罰をめぐっては、6月から「懲役」と「禁錮」を一本化した「拘禁刑」が始まった。刑務作業が義務から自由意思になり、受刑者の特性に合わせ処遇を24種類に分類するものだ。一本化を受けて、渡邉さんらの団体は国に要望書を提出。「加害者の人権や支援に重きをおくあまり、罪を償う機会が失われる」「更生だけでなく、被害者の思いを知らないと反省はない」といった観点から、受刑者が反省し謝罪する指導を徹底する内容だ。

渡邉保さん
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 渡邉さんは「法務省の担当者が細かく説明してくれたが、だんだん腹立たしさを覚えた。『再犯しなければ、被害者を生まない』という理念には賛同できるが、なぜ加害者はこれだけ手厚く、被害者は放っておかれているのか。会員のほとんどが、そうした意見を持っていた」と嘆く。

 また、加害者に対しては、「犯人に更生は求めていない。反省して、反省して、死んでほしいだけだ。娘を返してもらわなければ、許すことができない」といった感情を抱いていることを明かした。

 濱口さんもまた、「被害者は事件直後に何もできない。PTSDになり、本や書類を読み取って理解するのに、時間がかかるようになった。歩いている途中に泣いてしまうこともあった。時が経つに連れて頻度は減ったが、想像する100倍の悲しみやショックがある。被害者は放置されているのに、刑務作業が義務から自由意志になるとは、あまりに何も考えていない」と心情を吐露する。

 望さんの加害者は、来年出所する予定だ。「出てきて『罪は償われた』と思われるのは嫌だ。娘は帰ってこないし、悲しいのは一生変わらない。再犯してほしくないから制度を利用した。だからと言って、家族は悲しむばかりではなく、毎日笑っていようと決めた。娘に笑ってもらえるように、幸せに暮らしていく。娘が遺した絵に、妹が色を付けて、命を吹き込んでいる。それを見てもらいながら、飲酒運転のない社会を呼びかけたい」。(『ABEMA Prime』より)

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