この試合でも第1局、第5局と勝利していた藤本六段は、第6局に同門の兄弟子でもある稲葉八段が出てくると予想して、オーダー決めの際に立候補。3連勝とチーム勝利がかかる一局に登場した。
先手の稲葉八段が矢倉、後手の藤本六段が雁木に構えて始まると、中盤に先手が▲5八飛と指したことが傷になったのか、ここから後手ペースに。その後、一度は互角に戻ったものの、終盤に入ったところで再び後手がリードを奪い、そのまま最終盤に突入した。圧巻だったのはここからだ。藤本六段の持ち時間は残り1分20秒ほどだったが、ここから指しても時間が減らない。1手指すごとに5秒加算されるルールのため、1手5秒ほどで勝利への道筋をしっかりと読み切っていたことになる。
最終的には108手で藤本六段が勝利を収めたが、チーム稲葉の控室では相手チームの若きエースの強さに仰天。吉池隆真四段(20)が「いやー、強すぎる」とため息をつくと、上野裕寿五段(22)も「(持ち時間が)1分半から全然減ってない…」と呆然。秒読みの叩き合いになる前で勝負をつけてしまった藤本六段の強さに脱帽するしかなかった。
◆ABEMAトーナメント2025 第1、2回が個人戦、第3回から団体戦になり今回が8回目の開催。ドラフト会議にリーダー棋士7人が参加し、2人ずつを指名、3人1組のチームを作る。残り1チームは指名漏れした棋士が3つに分かれたトーナメントを実施し、勝ち抜いた3人が「エントリーチーム」として参加、全8チームで行われる。予選は4チームずつ2リーグに分かれ、上位2チームが本戦トーナメントに進出する。試合は全て5本先取の9本勝負で行われ、対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。
(ABEMA/将棋チャンネルより)


