戦後、国籍がないままフィリピンに取り残された日本人が今もいる。取材班が向かった先は、首都マニラからプロペラ機とボートを使って5時間の場所にある小さな島だった。
「無国籍」残留日本人2世 モリネ・リディアさん。父親が日本人、母親はフィリピン人だという。
━━父親の名前は?
リディアさん「カマタ・モリネ」
「父は漁師で船を持っていた」
━━出身は?
リディアさん「オキナワ」
戦時中に亡くなったという父。当時まだ幼かったモリネさんは日本語を話すことができない。フィリピン人の母親から聞いた記憶を頼りに、父のことを必死に伝えようとする。
リディアさん「『お父さんは顔の一部しか見えないくらいヒゲが濃かった』と母は話していた。父は漁師で船を持っていた」
いったいなぜ彼女は戦後、この場所に取り残され、そして日本人の父親のことを伝えようとするのか。それは、戦前からの歴史にさかのぼる。


