まずは「お客へのお声がけ」からテストされる。地図を片手に説明するも試験官である西尾社長は「地図が俺にしか向いていない。お客さんはこっちにもいるわけだから、2人にちゃんと見やすい環境を作って」「時間も料金も分からないものって買う?買わないよね」とダメ出しの連続。納得して乗ってもらうまで30分も時間がかかった。

 続いては「走行の安定性」だが、段差を踏んで大きく揺れてしまう。そして浅草の「観光案内」を経て、すぐさま合否が発表される。

「学生だから、アルバイトだから、そんなものは一切お客には、全くもって少しも関係ない。まだカセットテープの方が聞きやすいかもしれない。カセットテープという表現は古いかもしれないが、声の大きさもバラバラだし、顔の向きもバラバラだから、全然聞こえない。一生懸命だったよ。笑顔でいようと心がけているのは本当にわかった。そこはヒシヒシと感じたが、『がんばったから』『一生懸命だったから』と、お代をいただくのは同情されただけだ。“あなたしかできないガイド”をしてほしい」(西尾社長の講評)

 伝えられた点数は15点。採点表には厳しい言葉が並び、命を預かっている重さと、思い出という重さを乗せて引くのが人力車の引き手だという、西尾社長の教えが込められていた。竹原さんは「やりきりました」といいながらも涙を流した。

16回目の卒検を受ける男性
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