もう1人、卒業検定を受ける研修生がいた。2年前に入門した、大卒の飯田晃生さん(23)だ。これまで15回卒業検定を受けて、すべて不合格。それでも諦めず、「こんなにかかると思っていなくて、正直悔しい気持ちもあるが……がんばっていきたい」と話す。
そして挑んだ16回目の卒検。料金などを説明する乗車前の場面で、西尾社長からは「口を挟みたくないが、変わってない、何にも。惹かれるものはどこにもない」と、乗車してもらうまで90分ダメ出しが続いた。走行試験では「運転はさすが」と太鼓判を押されたが、飯田さんにとって最大の難所である観光案内では「この時間だと、もうすべてお店は閉まっている。でもこれは夜でしか見ることのできない景色」とガイドするが西尾社長は無言。どうしても観光案内がうまくできない。
「この“オレンジ通り”は、浅草公会堂ができたことで、一緒に名前が変わった」と説明するも、西尾社長は「ヤバいだろ、ウソやん」とリアクション。実際には1977年、区役所移転で新たな名前を公募し、フレッシュで親しみやすい「オレンジ」が採用されている。
結果は20点で不合格。西尾社長からは「無理やり点数を付けて20点。ほぼ点数など付けるレベルじゃない。現段階では何一つ以前と変わっていない。むしろ退化しているかもしれない」と、厳しい指摘が出た。
卒検18回目で合格した先輩の言葉に涙
