“クレクレ民主主義”にならないためには…?

ガソリン&軽油の暫定税率
拡大する

 「恒久的な財源」の確保について、ニュース番組『ABEMAヒルズ』コメンテーターで、ダイヤモンド・ライフ編集長の神庭亮介氏は「まずは優先順位をつけるべき」だと主張する。

「暫定税率が始まったのは1970年代の田中角栄の時代。“暫定”といいながら50年以上も続け、ガソリン税に対して消費税が上掛けされる二重課税も問題視されている。暫定税率をかけながら補助金を入れる状況は非常に歪だ。税制はシンプルが原則で、正す必要があるのは間違いない」(神庭亮介氏、以下同)

「一方で不安もある。参院選では各党が競うように減税策を打ち出した。仮の話、消費税も所得税もガソリン税も社会保険料も『まとめて全部下げます』となった場合、日本の財政はもたない。『あれもこれも下げてくれ』『何でもクレクレ』だと、財政学者の島澤諭さんが言うところの“クレクレ民主主義”になってしまう」

「放漫財政を放置すれば、国債の金利は上がり、円安や株安で日本版トラス・ショックに陥るリスクもある。結果として物価高にも跳ね返りかねない。現役世代の負担を下げるため、まずは社会保険料を下げる。その次に所得税を下げて……というように、ガソリン税の各論に入る前に、全体の優先順位をきちんとつけてほしい。同時に歳出削減の議論も必要だ」

 今回、野党が廃止しようとしているのは「ガソリンの暫定税率」だけで、「軽油の暫定税率」は対象外としている。政府は、他の燃料も手当てすると予算不足になるという試算も出しているが…。

「ガソリン税には1リットル160円を3カ月連続で超えたら減税する『トリガー条項』があるが、東日本大震災の影響で凍結され、これまで一度として発動されていない。暫定税率を完全廃止する前にトリガー条項の凍結を解除して、もっと発動しやすくするのも選択肢ではないか。金額のボーダーは再検討する必要があるが、物価高・ガソリン高の緊急事態にはトリガー条項を“ショック吸収材”として活用し、平時になったら元に戻すというやり方もアリだろう」

(『ABEMAヒルズ』より)

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