■これまでにも用いられた『解党的出直し』、今使う意味は

 総括の最後に明記された『解党的出直し』という言葉。元TBSラジオ国会担当記者でジャーナリストの武田一顯氏は「小泉純一郎さんが『自民党をぶっ壊す』、2009年に民主党に政権を取られた時にも『解党的出直し』と言ったが、解党したことは1回もない。中の人は『変えるんだ』と言うが、そこに期待値を高めるのはあまり有益な議論ではないと思う」と苦言を呈する。

自民党の田所嘉徳衆院議員(左)、自民党前衆院議員の下村博文氏(右)
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 一方、その言葉が意味するところについて、田所氏は『実績と展望』と語る。「実績については、民主党政権時に8000円を切っていた株価が今4万円を超えているし、有効求人倍率も安倍政権になって改善した。“こういう時代を作ってきた”ということを示すべきだった。展望については、DXやテレワークなどで都市と同じような生活が地方でもできる、利便性の高い新しい時代を自民党が開けるというビジョンをもっと強く主張すべきだ」。

 下村氏は『総裁選挙を通して徹底的な党の在り方からまず議論』との考えだ。「『解党的出直し』という文言は、今までの党の総括で何回もあった。他の既成政党も票を減らしたように政治状況が変わってきた中で、今までの延長線上の自民党ではもう通用しない。それを、前倒しで総裁選をすることによって、各候補はどういう自民党を作りたいのかという、これからのあるべき論を議論しながら、解党的出直しにつながっていくような発端にすべきだと思う」とした。

 総括の中には、『保守の思想を体現する党として、国民に存在意義を示していく』ともある。下村氏は「今の石破政権はリベラル的になりすぎてしまい、本来の自民党の保守的なアイデンティティが、参政党や国民民主党といった他党に流れてしまったと思っている。自民党は今年結党70年だが、共産主義や社会主義を阻止するところから始まった。その時代のまま来てしまったが、戦後80年の今どうすべきか。まさに解党的な出直しとして問われている」と答えた。

■成田修造氏「自民党の議席が減っても国民はそんなに困っていないのでは」
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