■「子どもの幸福を真ん中に据えて、施策を洗い出す必要がある」
こども家庭庁設立にあたる有識者委員会にも参加した慶応義塾大学の中室牧子教授は、「予算に関する批判は無意味だ」と考えている。2年間の評価として、いじめ、虐待、ヤングケアラー、少子化対策など子どもに関する課題を「一つの窓口に集約」したことや、保育現場の処遇改善(月額3.8万円昇給)などの「子どもに関する職業の待遇改善」、子どもの権利条約で各国が選任機関を整備するなど「国際社会との協調」を挙げる。
存在意義については、「こども家庭庁設立に尽力した、自民党の自見はなこ参院議員は『こども基本法の理念が大事だ』と言っている。子どもを個人として尊重して、人権が保障される状況にしようというのが、こども基本法の理念だ。こども家庭庁は、少子化対策のためでなく、この理念を実行するために作られたが、『少子化対策しかやっていない』と違和感が出ている。原点に立ち返り、もし権限が弱いなら強化して、理念を実行に移すことが大事だ」と語る。
「日本若者協議会」代表理事の室橋祐貴氏は、こども家庭庁の施策にはズレがあると指摘する。「ユニセフの調査では、日本の子どもの“精神的幸福度”が、36カ国中32位だった。“身体的健康”は1位だったが、幸福度としては低い。これはこども家庭庁が、もっと正面を切って取り組む課題だ」。
また、「暴力事件で高校野球を辞退した高校もあったが、そうした場所に、こども家庭庁がどこまでコミットしているか。勧告を出す権限はあっても、なかなか出す機会がない。子どもの意見が反映されていない“ブラック校則”にもコミットできていない。『少子化対策のための省庁』ではなく、子どもの幸福を真ん中に据えて、施策を洗い出す必要がある」と求めた。
■“独身税”と炎上したことも
