そして、この日の密会での会話が周囲にしみ出していった。翌6日、動いたのは小泉ジュニアだった。小泉進次郎農水大臣は「石破さんが解散しようとしているらしいです。そんなことしたら自民党は分裂する。菅さんから伝えてください」と電話で伝えた。「だったら一緒に行こう」と語った、電話の相手は菅義偉元総理だった。

 菅元総理といえば4年前、総理として総裁任期と衆院任期がともにあと1カ月というところで、コロナ感染者が下がらず、支持率低迷にあえいでいた。総裁選の先送りや衆院解散、二階俊博幹事長を交代させる党人事、あらゆる延命手段を試みようとしたが、すべて頓挫し、退に追い込まれた。ともに同じ無派閥で党内基盤が弱いという意味でも共通点があった。そんな菅元総理が進次郎氏を率いて6日午後、総理公邸を訪ねた。わずか30分足らずの面会で、「党の分裂があってはならない」と強く伝えた。石破総理は「私が総理になれたのは菅さんのおかげだ」と退陣を決めたのかもしれない。

 ただ、石破総理は衆院解散以外にも総理と総裁をわける「総・総分離」などあらゆる手段を思い立って党側に打診した。しかし、ことごとく拒否された。受け入れなかったのは森山裕幹事長だという。

なぜ石破総理は「令和の郵政解散」を実行できなかったのか
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