——梅田さんから見たヒカルは、どのような存在ですか?

梅田:今の(=“ナニカ”になった)ヒカルですよね。一言では言い表しにくいほど、すごく複雑なキャラクターだと思います。

 力がある、だから人の理を外れているだけで、全然人間の子どもと変わらない。何事にも悲しんで、何事にも喜んだりして、すごく愛着が湧く存在だなと思います。

 自分が(光の友人である主人公・)よしきの立場だったら、その愛着が湧くという状況さえも気味悪く思ってしまうかもしれません。でも、ヒカルを演じている身としてはすごく思い入れがあるというか、愛着が湧く人物だなと思います。

——オーディションの時と、実際にアフレコで演じた後で、光(ヒカル)のイメージに変化はありましたか?

梅田:監督とのお話の中で見えたものとか、自分の中で決めた解釈とかはもちろんありますが、イメージの変化としてはあまりないですね。

 そもそもオーディションの時に、僕は自分に似た光(ヒカル)は一人もいない、逆にスタジオオーディションに呼ばれた方はみなさんそれぞれ違う光(ヒカル)として呼ばれているんじゃないかっていう直感があったんですよ。直感なので、実際はわからないですが。

 なので、もちろん(理解が)深まることはありましたが、スタジオーディションから本番までは、光(ヒカル)そのもののイメージが変わることはそこまでなかったかなと。

——生前の光と今のヒカルでの演技の差別化があったと思いますが、なかでもよしきに話す時での演じ分けで、難しさを感じた部分はありますか?

梅田:これ実は、もちろん難しくはありますが、僕の中ではすごく苦労したっていう感じはないんですよね。

 なぜかというと——いろんなインタビューでも言ったのですが——声を変えるというよりは、関わり方や、自分の精神的な立ち位置を変えて、それぞれ違う存在として演じているので、大変というよりはすごく楽しく演じ分けていました。

 例えば、よしきに対する関わり方が違えば、当然声のトーンも変わってきますし、余裕があるかないかでも声が変わってきますよね。「よしき」っていう言葉一つとっても、性格的に相手のことをわかったうえで距離をとるのか、わからないから距離をとらないのか、そういうところを意識してやっていました。

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