「『臭い』と思った時に自分の世界が戻ってきた」
今村記者は、自身が日本で体験したスメルトレーニングについてこう話す。
「嗅覚ニューロンは放っておいても生成され、スメルトレーニングをすることでより活性化されると言われている。私の場合は2カ月ほど続け、毎日いろいろなにおいを嗅いだ。そして、突然『臭い』と思った時に自分の世界が戻ってきた」
においの研究の状況も変わってきたという。
「視覚や聴覚に比べて、嗅覚研究はもともと陽が当たらない研究と言われることが多かった。だが、新型コロナをきっかけに、多くの人が嗅覚障害になってしまったことで、一気に研究者や研究予算が増えたという」
今村記者は取材を通して感じたこととして「私たちは見たくないものには目を閉じたり、雑音があったらイヤホンをするなどある程度“カット”できる。だが人が生きている以上、息はしなければならず、鼻を閉じることはできない。私はパリの下水道博物館に行った時に、昔祖母の家でかいだトイレのにおいをふと思い出して、少し懐かしい気持ちになった。本当ににおいは感情と結びついていると感じた」と話した。
(朝日新聞/ABEMA)

