「労働時間の減少には3つの理由が」経済学者が指摘
日本国内の労働時間の推移は減少方向にあるとのことだが、ニュース番組『ABEMAヒルズ』のコメンテーターで慶應義塾大学教授・教育経済学者の中室牧子氏は次のように語る。
「労働時間を増やせば実質賃金が上昇するのかというと、そこは自明ではない。経済学的な言い方をすると、労働投入と賃金は同時決定なので、どちらが原因でどちらが結果かというのは分からない。なので、労働時間を増やせば必ず実質賃金が上がるものではないということは、留意が必要」(中室牧子氏、以下同)
「その上で、労働時間の減少が起きた理由は3つある。1つ目は正社員の働く時間が減っていること。もう一つは、パートタイムの労働時間が減っていること。もう一つはパートタイム労働者の増加」
では、なぜパートタイムの増加が起きたのか。
「今まで65歳まで正社員で働いていた人が、正社員じゃなくてパートタイム、あるいは契約になったというケースも考えられる。子どもができてパートタイムになった人もいると思う。パートタイムの労働者が増えたのは、日本全体の労働時間が縮小している大きな理由の一つ。厚労大臣のコメントが注目されている背景に、多くの人たちは、一般企業で勤めるような正社員の人たちが残業の上限規制を取っ払われて、『働かされ放題になるのでは』ということをすごく懸念されているのでは」
「一方で目を向けたいのは、参院選の間に参政党も時間外労働の上限規制の見直しを挙げていて、参政党も全ての職種、すべての労働者に当てはまるものだとは言っていない。自民党の言っている労働時間の働き方の見直しは、もっとマイルドなもの。どういう人たちに、どういう条件の時に労働時間の緩和をするべきなのかをこれから議論することだと思う。間違っても全ての職種、すべての労働者の残業時間の上限を取っ払うような話ではないというのは注意が必要」
(『ABEMAヒルズ』より)
この記事の画像一覧
