関西在住の小林さん一家。夫・小林さんと妻・ノリコさん(いずれも仮名)、2歳の娘の家族だが、ある特別な事情を抱える。それは「友情結婚」。愛情や性行為はなく、友情や信頼関係に基づいた“パートナー”として夫婦になる結婚の形だ。
【映像】“友情結婚”した小林さんとノリコさん、その子どもの様子
こうしたケースを選ぶ人の多くが、性的マイノリティーの人々。異性に性的欲求を抱けなかったり、そもそも性的欲求がなかったりする人が、それでも「家族」や「子ども」がほしいとして、友情結婚を選ぶという。
友情結婚の相談所「カラーズ」にも、多くの相談が寄せられている。利用者の1人は、「物心がついた頃からゲイだった。その一方で自分の子どもがほしい。養子という選択肢もあったが、自分の血が繋がっているという意味で、異性との友情結婚が必要だと考えた」と明かす。カラーズにはこれまで、4000人を超える性的マイノリティーの人々が相談に訪れ、300組を超える友情婚夫婦が誕生した。
小林さんが友情結婚を選択した理由も「子ども」だった。「私はゲイというセクシュアリティーで保育士をしている。仕事をする中で、自分も家庭を持ち、子どもを育てて、その成長に触れられればと思った」。
一方のノリコさんは、男女問わず誰に対しても性的な欲求を抱くことがないアセクシュアル。「兄弟がおらず、親戚とも疎遠。親が亡くなったら1人になってしまうのは寂しいと思い、結婚したいと思うように気持ちが変化した」と語る。
■夫・小林さん「戦友のような感覚」 妻・ノリコさん「出産して自分のセクシュアリティーへの答えが出た」
