なぜ女性団員は増加しているのか?
一方、そんな中、女性団員はこの14年間で1万人ほど増えている。3年前に入団した木村さんに話を聞いた。
木村さん「ほんとほんと過酷です。でも、なんか好きでやっている。痛いけど訓練行っちゃうんです。辛いなって思いながら。楽しいんでしょうね。できると嬉しいっていうのが一番あるんですけど、本署(本職の消防士)の方にも指導をしていただいていて、プロの方に褒めていただけるのがすごく嬉しくて、そこがモチベーションなのかな」
田中記者「ステレオタイプかもしれないが、10数年前までは、消防士の活動=男性の職業、というイメージがあったかもしれない。だが、訓練を積んで機材の使い方を理解すれば、男女関係なく、その地域を防災することはできる。志を持った方々が少しずつ増えて、草の根的に女性の団員の方たちが増えてきている現状がある。木村さんが始めたきっかけは、親御さんと地域の女性の隊長さんとの付き合いで出会われ、女性の方たちで地域防災を担っていると知ったこと。木村さんは率直にかっこいいと感じ、仕事をする傍らで団に入られたという。『自分の地元を守りたい』という気持ちは男女関係なく、“同士”のような方たちが1つのチームとなって消防団に入って、輪が広がってきていることが女性が増えてきている要因だと感じた」
消防団員に年齢制限はあるのだろうか?
田中記者「自治体ごとに条例を決めて団を構成しているが、一般的には18歳以上から入団でき、65歳ほどで引退する。消防の操法という大会に出たメンバーの方たちは20代前半から30代ぐらいまでの若い方たちが多いが、今回取材した八王子市の消防団は本当に年齢幅が広かった。この団では八王子消防署、東京消防庁の本職の消防士の方たちとの交流、地域の中での輪が広がっていくことについても木村さんは魅力を感じており、様々な方との人間関係が築かれていくことも消防団の魅力なのだろう」
モチベーションはどこにある?
木村さんも出場した操法を競う大会のルールは?
田中記者「全国大会は横浜市赤レンガ倉庫のイベントスペースに44の都道府県の予選を勝ち抜いた300人の精鋭が集まって行われた。5人1チームで、20メートルホースを3本繋いで、およそ60メートル先にある2つの的を放水によって倒すタイムを競う。速さ以外にも機材の準備や収納の動きの正確性なども問われる」
全国大会で優勝したのはどんな団だったのか?
田中記者「実は木村さんは学生の頃、自転車競技の全国3位の選手でその頃に鍛えた足腰が消防操法にも生きているようだった。だが、そんな木村さんを擁する八王子市の最速タイムで48秒ほど。全国大会を2連覇している熊本県の八代市の消防団は恒常的に44秒台を出している。全国大会は2年ごとに行われているのだが、一昨年の大会でも今大会でも44秒台を出している。『4秒の壁』が彼女たちを苦しめているのだ。一方で、八王子は規律・正確さが強みのチームで、今大会はそちらも評価されて、初出場で準優勝を掴み取った」
とはいえ、アスリートの素質があるような方だけが大会に出場しているわけではなく、普段あまり体を動かしていないような方たちも訓練を積んで参加されているという。
木村さんは普段どのような仕事をしているのだろうか?
田中記者「電気工事士の仕事をされている。仕事でも体を動かし、夏場は汗だく、ヘトヘトになりながら働いて、シャワー浴びる間もなく訓練に向かうこともあるという。八王子市の他のメンバーは消防操法に集中するために、保育士から時間に融通がきく仕事に転職。その結果チームで全国2位を勝ち取ったのだ」
モチベーションはどこにあるのだろうか?
田中記者「消防署の方々、消防団員と一緒に目標を達成する。そして本職の消防士の方々に『今の放水は良かったね』『今の形は綺麗だったね』と褒めてもらえる。努力したことが報われる達成感がやりがいにつながってると木村さんは何度も口にした」
大会なども全て地域防災につながっていくという。
田中記者「木村さんたちが繰り返している操法の練習は実際に火災が起き、出動する時には発揮される。そして、大会や報道を通して、消防団の活動について認知していたいただくことが、ゆくゆくは地域の防災にもつながっていく」
(ニュース企画/ABEMA)
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