クマを捕獲し個体調査をするだけでは、クマの食生活まではわからない。教授になってからも食性解析を続け、彼の研究人生で拾ったクマのフンは、およそ30年で3000個以上になるという。
同著では「特にツキノワグマは雑食とはいえ、ほとんど植物を食べているため、桜の花や実を食べた後に出たウンコは桜餅のようなにおいがするし、植物の葉を食べたときのウンコはお茶の葉のようなにおいがするのだ。どちらかと言えばいい香りがすることもある」と書かれている。
小池教授は「クマって肉食のままの消化管なので消化能力が悪い。いろいろな果実を食べても、その種とかがそのまんま出てくる。クマのお腹を通過した種はちゃんと発芽する。クマは森の中でいろんなところを動くので、クマが食べてウンチをすることによって森中に種を撒いているという、そんな働きをしていることが見えてきたのがひとつ面白いところ。クマは普通に食生活をしているだけだが、クマがいることによって植物の繁殖を助けてくれてる。それによって森の中には次の世代の木がどんどん育っていく」と説明。
クマのフンを解析することで、森に暮らすクマは森の恵みを食べ排泄することで森を作り、森を保全していることを知ったという。
クマの生態については「日本人の多くの方が鮭を食べて生きていると思っているが、クマは、もともとはライオンとかトラと同じグループの共通の祖先がある。そういう意味では動物質のものがあれば当然食べたい。森の中で鹿が死んでいたりすると、それも当然ごちそうで食べるわけだ。だから獲れるなら食べたいが、わざわざそれを探すコストはかけたくないというのが、クマの本音だと思う。栄養価は低いけれども、たくさんある植物をたくさん食べることで、体を維持するというふうに進化してきた。いかに効率よく食べて生活するかというとこを追求している」と解説した。
主食のどんぐりが凶作→エサを求めて人里へ…
