■妙楽寺前住職「40年前からしたら想像がつかない量」

 現在2万5000基となった墓石について、鈴木さんは「40年前からしたら想像もつかない量になった」と驚く。「初めは月1、2基だったが、平成になって月に数十基に増え、平成の後半には年間数百基になった。妙楽寺に安置する数は減少傾向にあるが、墓じまい全体では年々増えているのではないか」。

妙楽寺前住職の鈴木政彦さん
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 弔いの形としては、「一番大切なのは、亡くなった方そのものであるお骨だ。そもそもお骨を埋葬して、お参りする対象としてお墓があった」と説明しつつ、「墓じまいには、管理者や相続人が亡くなるなどの理由があるが、いずれも『捨てるのは心が痛む』からだ。そうした相談を受けて、お寺で預かり、ご供養しようと始まった」と振り返る。

 そして、「お預かりした後もお参りに来る人は多々いて、縁が切れるわけではない。“寺じまい”で観音様を30〜40体お預かりしたこともあるが、檀家(だんか)さんや、お寺の血縁者はお参りに来る」という。「預かってもつながりは消えない。土地に余裕がなくなれば預かることもできなくなるが、つながりのある人がいる限りはなるべくお預かりしたい」との思いがある。

■ 遺骨を引き取らない“0葬”も
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