安青錦は本割で大関・琴櫻(佐渡ヶ嶽)を破り、この日から休場の横綱・大の里(二所ノ関)に不戦勝となった豊昇龍と12勝3敗で並び、優勝決定戦が行われた。館内が緊張感に包まれる中で行われた優勝決定戦。豊昇龍と安青錦は立ち合いから激しく当たったが、安青錦が後ろに回りこむような態勢になると、そのまま送り投げ。安青錦は悲願の初優勝、ウクライナ出身の力士として初めての賜杯を抱いた。一方、豊昇龍はこれで2場所連続、優勝決定戦での屈辱を味わった。
館内割れんばかりの拍手と歓声が響く中、その悔しさを噛み締めるように左ヒザを土俵につき、しばし茫然とした様子を浮かべた豊昇龍だったが、立ち上がると土俵上で一礼。さらに土俵の下で深々と、およそ4秒間にわたって頭を下げると最後に天井を見上げ、決意を新たにするように振り返って花道をゆっくりとさがっていった。場所中、土俵際での振る舞いに批判を浴びた豊昇龍。最後は、横綱として胸を張って礼節を尽くすと「立派だった」といった声も聞かれた。
改めて取組を見た藤井アナは「今日も安青錦、アゴが上がらなかったですね」としみじみ話すと、花田氏は「自信があるんでしょうね。安青錦は。でも、横綱の地位として責任は果たせなかったですけど、逃げずに当たっていったんですからね。豊昇龍も。いいじゃないですか、いい取組でした。二人とも」と健闘をたたえた。豊昇龍に対しては「背中は泣いていましたけど…まだまだここが始まりですから」とエールを送った。
取組後には審判部が場所後に臨時理事会の招集を八角理事長に要請し、理事長も承認したと報じられた。三役で3場所、33勝という大関昇進の目安はある。最近では三役に上がって2場所で大関に昇進した照ノ富士(現・伊勢ヶ濱親方)、栃ノ心の先例もある。2026年初場所では、新たな番付で臨む安青錦の雄姿を観ることになりそうだ。(ABEMA/大相撲チャンネル)
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