■死亡事件の時効はすべて撤廃すべき?

 時効が撤廃されない一般的な理由として、時の経過により「被害感情、処罰感情が薄れ起訴の必要性が減少」「当事者の記憶が曖昧になったり、証拠等が散逸したりなど、適正な裁判の実現が困難になり、冤罪を生む恐れ」がある。一方で、時効がなくなると、未解決事件が増えて捜査機関の負担になるなどの課題がある。

公訴時効
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 自民党の宮崎政久衆院議員(崎はたつさき)は法務大臣政務官時代、死亡ひき逃げ事件の時効撤廃の国会審議に携わった。「公訴時効は『冤罪(えんざい)が起きてはいけないが、犯人は処罰しないといけない』という制度の調和から、法定刑の重さで期間が決まる。撤廃したものもあるが、1〜30年となっている」と説明する。「性犯罪に関しては議論の末、時効が変わったが、死亡ひき逃げ事件は制度化までいけていない。私も残念で忸怩(じくじ)たる思いがある」。

 また、小関さんは「未解決事件が増えると、捜査機関に負担がかかるとされる。私も『1人の息子のために税金を使うな』と言われることがあるが、逃げるから警察は捜査しなければいけない。逃げることを考えない社会にすれば、事故の減少にもつながり、冤罪も防げ、警察の負担は軽くなる。そのためには法改正しない限り無駄だ」と訴えた。

 常磐大学元学長(被害者学)の諸澤英道氏は、1000人以上の被害者・遺族らと会ったが「時が経つと記憶や被害感情が薄れる」と話す人は1人もいない、人を殺して訴追を受けないのは問題だ、との理由から、「被害者が死亡している事件は、過失・故意に関わらず時効を撤廃すべき」との見方を示す。

 元検事で交通犯罪捜査に詳しい依田隆文弁護士は、事故は過失だが逃げる行為は故意で、「殺人と等しい」悪質犯罪だと指摘。防犯カメラやドラレコの普及、科学捜査も進歩し、証拠の保存・活用が広がる中では、「証拠散逸の懸念」には該当しないとみる。そして、実質的な時効撤廃として、「制度は残しつつ時効成立前に遺族らの意思を確認し、捜査継続を判断(傷害を負った場合、時効撤廃の線引きの必要性の議論は必要)」といった形を提案した。

 宮崎氏は「時効撤廃に賛成というよりも、逃げ得を許さない制度を作るべきだ」と語る。「時効撤廃も方法論のひとつだし、例えば海外にいて時効が停止する仕組みを拡張したり、逃げて捜査できない環境を作っている事案は時効が進行しないようにする。『どのような仕組み』を作るかが大切で、時効撤廃が唯一の解決策なのかは知恵を絞って議論すべきだ」とした。(『ABEMA Prime』より)

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