被害者側の代理人である大澤健人弁護士は、2024年の免許更新自体が問題だとした上で、「本人の故意があったのか、予見ができる事象だったのかというところが大事になってくる。事前にお医者さんの方から、例えば運転中に意識がなくなってしまう可能性があるから運転を控えてくださいといった指示を受けているのであれば、これは運転を差し控えるべきだという話になってくるので、そこは非常に分かれ目になるポイント」と指摘した
さらに、「こちらから検察官にお願いをしている、求めているところとしては、過去に事故を起こしたことがあるのであれば、その時の第三者の証言が得られないか、こういったところをしっかりと検証してほしいという点」と説明した。
琴陽さんの親族は、過失運転致死傷罪より罰則が重い、準危険運転致死傷罪での立件を検察側に求めたが、取材した12月末の時点では起訴はまだされていない。危険運転は過失に比べ罰則は重いが、問題は何が危険な行為に当たるのか。その判断は、厳罰を求める被害者感情と法の建て付けには大きな差があることが現実だ。
元裁判官の内田健太弁護士も危険運転と認定する難しさを指摘する。「やっぱり法令上、一番問題となってくるのは、正常な運転に支障を生じるおそれがあったかどうか、そしてそれを認識していたかというところが最大のポイントになってくる。そして、この“おそれ”というものは、あくまで抽象的な概念でしか書いていないので、実際にそういう前兆、予兆があったか。この判断はかなり難しい判断を迫られることになると思う」。
一方で「事故当時の記憶はない」と供述している男性の場合どうなるのか。仮に通院履歴がなかった場合、危険を予見できていたかの客観的な証明が争点になるという。「実際に何か意識障害があった時に勤勉に診断を受けた人は分かったということで危険運転の成立が高まり、意識障害があったのに、でも病院に行かない、だから分からなかったということで、全部無罪になるという結論もおかしいと思う。あまり前例がないケースだと思うので、ここは大きな判断のポイントになる」(内田弁護士)
過失運転から危険運転罪への変更は、悲しみを抱えた遺族たちの努力によってなされてきたが、その無念さに報いる判決になるとは限らない。2021年、大分市で時速およそ194キロの速度で衝突され死亡した男性の遺族が、過失致死での起訴は許せないと危険運転への訴因変更を求め署名活動を展開。地裁では危険運転を認めたものの、判決は懲役8年の実刑だった。遺族らは「あまりにも軽すぎる」とその判決にショックを隠しきれない。
遺族が怒りをあらわにしているのは加害者の態度
