追い風を切り裂いた“完璧なジャンプ”
札幌大会決勝1日目。1回目のジャンプは強豪たちも飛距離が伸びないタフなコンディションとなり、大接戦の様相を呈していた。運命の2回目、小林の出番でジャンプ台には追い風が吹く難しい状況となる。母国の観客が固唾をのんで見守る中、小林は空へ飛び出した。
「さあ、陵侑。どうだ?これは完璧なジャンプです!さすがです。この厳しい追い風の中見せました」
その飛距離は、後に続くクラフトら強豪オーストリア勢をも凌駕するものだった。中村も当時の心境を「みんな下で言ってたのはアイツやっぱり本当に札幌で勝つんじゃないか、みたいな『言霊あるぞ、これ』みたいな」と振り返る。
そして迎えた2本目の最終ジャンプ。優勝争いのプレッシャーがかかる中、小林は再びビッグジャンプを見せる。
「(今日)最後のジャンパー、さあ来い陵侑。見せるか。どうだどうだ?うああ、伸びてきたぞ。完璧なジャンプだ。いや、途中で追い風が入っていたんですが、そこも何ら問題なし。ミラクルを起こす小林陵侑」
実況が絶叫するほどの会心のジャンプで、小林は見事に復活の優勝を果たした。
試合後、小林は「やっぱ結構久しぶりにロングジャンプ連発してたのでベストな状態の中でのパフォーマンスではなかったですけど、ま、その中でもビッグジャンプ2本決めて勝てて良かったすね」と、安堵の表情で語った。
この札幌大会で、小林は翌日の2日目決勝でも優勝を飾り、完全復活を世界に印象づけた。2月6日に開幕するミラノ五輪代表。苦悩のシーズンを乗り越え、再び上昇気流に乗った小林陵侑が、イタリアの空でどのような「ビッグジャンプ」を見せてくれるのか。世界中の期待が高まっている。((C) Red Bull)
この記事の画像一覧
