「このまま下まで飛んでくるんだろうな」確信したビッグジャンプ
2日目の第1ラウンドを終え、小林は首位のリンドヴィック(ノルウェー)に僅差の2位。しかし決勝ラウンドはタフなコンディションとなり、多くの選手が苦戦を強いられていた。
逆転が必要な局面。スタートゲートを離れた小林が空へ飛び出すと、その放物線は美しい弧を描いた。
「1本目は132m。小林陵侑、現在2位につけています。昨日の覇者、陵侑見せるかどうだ? おお、いいぞ。なんというジャンプだ!」
実況が興奮気味に叫ぶ中、小林はヒルサイズに迫る衝撃の136.5mをマーク。このジャンプを見守っていた中村は、テイクオフの瞬間を回想し次のように語った。
「あ、いつもの陵侑だ。高さもあるし、スピードもあるし、すげえ綺麗だし、ぶれないし。『このまま下まで飛んでくるんだろうな』みたいな感じのジャンプで下まで飛んできて、ライン超えて。勝ったわみたいな感じでしたね」
1本目でトップだったリンドヴィックの結果を待つ間、会場は静まり返る。結果、リンドヴィックは2位となり、小林の逆転優勝が決まった。
小林は「やっぱりみんな僕が苦しんで、ま、帰国の決断までして、あの、ま、色々やってたの、見てたので一緒になってく、喜んでくれて嬉しかったです。」と振り返った。
この札幌大会での劇的な2連勝をきっかけに、小林は調子を取り戻していく。2024-2025シーズンを総合9位まで巻き返して終えると、続く今シーズン(2025-2026)は開幕から好調を維持。最新のW杯総合ランキング(2026年1月時点)では2位につけるなど、完全に世界のトップコンテンダーとしての地位を固め直した。
苦悩の時期を乗り越え、母国の空で取り戻した「世界一」の翼。ミラノの空でも、あの美しいビッグジャンプが見られることに期待したい。((C) Red Bull)

