■「診断名ではない」ために見過ごされる実態

境界知能
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 境界知能とは、IQが70から84の範囲にあり、知的障害ではないものの平均より低い状態を指す専門用語である。青山学院大学教授で小児精神科医の古荘純一氏は、この特性について次のように解説する。

 「単にIQが70から84の人を指す言葉であって、そこにはいろいろ属性が含まれている。診断名でもないので支援にもつながらない。一方で、数字で70から84と(中間値の)100より低いことで、いろいろなことにくくられて見下されやすい問題もある」。

 境界知能の中身は多様であり、言語理解が苦手な者、処理速度が遅い者など、個人によって課題は異なる。しかし、それらが一括りにされ、教育や福祉の現場では「平均的ではない」とされながらも、明確な診断がつかないため公的なサポートから漏れてしまう現状がある。

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