■「消しゴムの使い方」から始める支援の道

境界知能専門の学習塾
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 こうした支援の空白地帯に対し、静岡県浜松市で「境界知能専門の学習塾」を運営するのが、『学びのいろは』代表の寺岡勝治氏だ。元夜間高校の教師だった寺岡氏は、生徒たちの「立ち入り禁止の文字が読めない」「引き算ができずお釣りを間違える」といったトラブルに直面し、道徳教育ではなく学習スキルの向上が必要だと確信したという。

 「基本的には学習面のサポート。認知的、能力的なものの弱さがあるので、勉強することで、雑多な情報を整理することができる。国語できちんと教えれば、整理できるようになってくるので、日常的な部分においてもかなり負荷が下がる」。

 塾では、勉強の入り口をスムーズにするため「場所・人・時間」の役割を固定化する工夫や、消しゴムの使い方の指導まで行っている。

 「消しゴムはすごく重視していて、きれいに消せるようになると、失敗を受け入れられるようになる。答案用紙が白紙のケースが多いが、それは自信があるものでないと書こうとしないから。例えば『あいうえお』と書けばいいだけなのに書かない。それは間違えると嫌だから。ただしきれいに消せるようになると、もういっぺん書いてみようと言えば、どんどん書けるようになる。それで自分で成長していく」。

 寺岡氏は、適切なやり方があれば能力は伸びると強調する。実際に、IQ65だった生徒が英語の偏差値を65まで伸ばした事例もあり、学習を通じて自身の長所や短所に気づくことが、将来の就職や離職率の低下、人間関係の改善に繋がると語った。

■支援の「隙間」を埋めるために
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