◆日本が宇宙事業で世界と戦えるのか

想定される“宇宙戦争”とは?
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 そもそも宇宙における防衛力として、日本はどの位置にいるのだろう。高橋氏は「西側諸国はアメリカという『巨人』がいて、その他は『村人B』だった。自衛隊は2008年以降に宇宙能力の整備を解禁され、15年ちょっとで大きな進歩をした。あと5年、10年すれば、“名前の付くキャラ”になり、アメリカに次いで、フランス、日本の位置づけになるだろう」と見通す。

 技術力については「独自の打ち上げ能力があり、独自の衛星を作れるのは大きなメリットだ。民間ロケット『カイロス』もあれば、主力ロケット『H3』も打ち上げ失敗の原因究明で大きな進展があったとのレポートが出た」と評価する。「民間のポテンシャルは非常に高い。アストロスケールという会社は、衛星に衛星を近づけるスペシャリストで、デブリの除去もできる。米国法人はアメリカの衛星に燃料を補給する契約もしていて、世界トップクラスの技術を持っている」。

 投資規模の差もあるが、「アメリカは巨人で、追いつくのは難しいが、『村人B』であり続けるのも難しい。スターリンクをロシアとウクライナの両方が使っていた時期もあるが、いまは、ロシアは接続が遮断され、ウクライナでも使える場所が限られている。そう考えると、自前で持つことも、ある程度必要だ」と話す。

 近畿大学 情報学研究所 所長の夏野剛氏は「日本の防衛産業と宇宙産業は似ている。宇宙産業には大手が4社あるが、宇宙技術での売り上げは数%。わかっている役員も1人しかおらず、重点的な投資など決まらない」との実情に触れる。

 そして、「ロケットは2社、衛星は2社が手がけているが、顧客はJAXA(宇宙航空研究開発機構)と自衛隊しかいないのだから、各社の宇宙部門を切り出して、『ジャパンスペース』にすればいい。宇宙産業は2000億円規模で、だいたい畳産業と一緒だ。客が2社しかいないのだから成長しない」とアドバイスした。

 これに高橋氏は「民間の宇宙利用が爆発的に増えることで、政府は数兆円規模の市場にしていく目標を掲げている。だからこそ、民間にトライアルの機会が与えられている」と返す。「最近では、水田の生育状況を宇宙から観測する研究があるが、こうした日本のニーズに合ったものを作るとなると、スペースXに頼みきれるのかとなる」。

 夏野氏は「分散しているのがもったいない。日本のロケット打ち上げは成功率が高い。ここにちゃんと資金を集められないか。衛星を上げたくて、スペースXに並んで待っている国は多く、市場はある。マネジメントがもったいない」と指摘。高橋氏は「国内衛星をせっかく作るのなら、その打ち上げ費用を海外に払うのはもったいない。国内でなんとか頑張ってほしい、という考えはある」と反応した。
(『ABEMA Prime』より)
 

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