■「血のつながり」を超えた家族の形

青波さんのきょうだい
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 雪深い里山で3人の子どもを育てる青波さん家族には、血のつながらない次男、あめ君がいる。2021年に長男のおと君を出産した夫妻は「2人目不妊」という壁に突き当たっていた。

 夫の豪さんは当時の状況を、「長男が生まれてその後2年ぐらいなかなか子どもができなかった。『2人目不妊』があるのかなと」と振り返る。かつて国際協力の現場で、血縁を超えて仲良く暮らす家族を目にしていた経験が、夫妻に養子縁組という選択肢を提示した。

 あめ君を迎えた際、豪さんは「不思議な感覚。『自分の息子が生まれていた』というような。感動もするし愛おしい感じもする。ちゃんと育てていかなければいけない感覚」と振り返る。長男のおと君も、弟のミルクやおむつの世話を共に行う中で自然に受け入れたという 。妻・美智さんは「普通だった。おと(長男)はまだ話せなかったので、反応を見たら、うわーっという感じ。嫌うというのは全くなかった。ただ、お腹が大きくなる過程が分からない中、急にもう一人来たから。あめ(次男)のミルクやおむつは全部長男と一緒にした。『ありがとう、ありがとう』と言っていたら普通に受け入れてくれた」と、微笑ましく弟を受け入れてくれたと語った。

 多治川直希さん・彩乃さん夫妻もまた、3歳の長男がいる中で生後4日目の次男を特別養子縁組で迎えた当事者だ。彩乃さんは、「2人目は考えたが自然には授からなかった。不妊治療1年ぐらいして、次の大きなステップアップをするタイミングで、夫と2人で自分たちが改めて何をしたいのか、どんな家族になりたいのか考えた。その時に特別養子縁組を思い出し、事情があって(実の)お父さん・お母さんと暮らせない子たちの親になりたいと思った」と語った。

 しかし、実子がいる家庭が養子を希望する場合、制度上の壁が存在する。青波美智さんも民間のあっせん団体を探した際、「実子がいたらダメというケースが一番多かった。やはり子どもの権利を守るという観点から、実子と比べてしまうという懸念もすごく大きいと思う。そうした意味で養子の子だけに専念してほしいという方針の団体さんが多かったです」。

 特別養子縁組のあっせん団体・ベアホープの代表を務めるロング朋子氏も補足する。「そもそも少子化は、お子さんを育てたい方が減っているから起きている。養子縁組も不妊が理由で行われる大前提があるので、お子さんがいる方が養子を迎えることは、真新しい。ただし、実子がいたら養子はなしとなると(養子を)受け入れられる数がかなり制限される」と、社会的な理解や受け入れ先の不足を指摘している。

■揺らぐことのない愛情と、真実告知への向き合い方
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