◆親と引き離した子、その後の行動は
たかしくんが生活するフリースクールを運営する安村俊毅氏は、「僕自身も兄弟から家庭内暴力を振るわれた。25年以上前の暴力で、前歯がずれて鼻血も出たが、警察は『身内だ』と聞くと帰ってしまう。これは認知件数に入らない。だが、子どもへの虐待は法が介入すべきで、『夫婦間でも暴力は当然許されない』という社会常識の変化により、『子どもからの暴力も許されない』となり、認知件数が上がったのではないか」と考えている。
安村氏が「親子のカプセル化」と呼ぶ現象がある。親族や友人、警察など、誰にも相談しない・できない状態になると、1つ目のパターンとして「無理して向き合う(過干渉)」となる。自分一人で暴力を止めようと子どもに接近しすぎた結果、さらに親子の衝突が激化し子どもは反発。暴力が過激化する。
もう1つのパターンとして、「諦めて奴隷化する(無干渉)」があり、子どもの暴力に屈して、諦めてすべてを受け入れてしまった結果、親をねじ伏せた成功体験が暴力をさらに増長するそうだ。
そこまでになっても、なぜ警察に言わない人がいるのだろう。「1つには、自分の子どもを犯罪者にしたくない心理がある。警察に止めてほしいが、逮捕すれば前歴が付いてしまうからと我慢するケースが多い」。
そこで安村氏は「物理的に親子間を別れさせる」手段をとっている。その理由を「距離を置かないと、どうしても暴力が出るため、冷静に見つめ合える距離感づくりを重視している。親も『一緒にいたいが、いると暴力が出る』と分かっている場合がある。たかしくんも暴力を振るうことに後悔の念がある子だったため、『ぶつかるなら距離を取った方がいい』と理解してくれた」と話す。
子どもの傾向として「『暴力を振るう意味がない』と理解すると、行使しなくなる子が多い。暴力自体を楽しんでいる子も、かなりの数いる。不登校で相談を受けた子が、『母親を殴ることは悪くない。だって、あんなの人間じゃないから』と言って、初めて家庭内暴力があったと知ることもある」と説明する。
そうした状況を「裁判傍聴に行き、『人を傷つければ、当然罪に問われる』と知る」ことなどで改善していく。「僕は必ずしも“母の愛”への信仰はない。『法は誰に対しても守るもので、相手が他人でも親でも関係ない』という枠組みをメインに据えている」。
悩む親には「1回でも手が出た時点で、すぐ相談して」とアドバイスする。「家庭内暴力があると、僕たちは深夜でも必ずその日に行く。暴力があった直後に『ダメだ』と伝えに行かないと、話を聞けない」。
(『ABEMA Prime』より)

