■値上げで需要が減る?「価格弾力性」のジレンマ
社会的意義があるかどうかで判断するということだが、どこで判断されるのかについては難しい問題だ。中室氏は次のように課題を指摘した。
「国立博物館や美術館の社会的意義は何なのかをうまく測ることができるのか。展示の収入のKPIでそれを判断できるのかは難しいところなのではないか。そして、展示の収入を増やすこと自体が果たしてそんなに簡単なのかをよく議論しなければいけないと思う」
「実は経済学には『価格弾力性』という言葉がある。これは価格を1パーセント上げるとどれくらい需要が減るのかを測る指標だ。現在の案では、入場料をもっと増やし、特に二重価格にして外国人の観光客からたくさん取ったらいいのではないか、ということだった。今と同じ数の客が来てくれるのだったらそれでもいいが、値段が上がれば行くのをやめる人もいるのではないか」
「価格弾力性というのは、例えば食品とか医療とか薬とか、高くても買わざるを得ないものは低い。一方、博物館、美術館の入場料や、旅行などについては比較的価格弾力性が高いと言われている。この価格をどの程度に設定すれば経常費用を賄えるのかについては、これから調べてしっかり考えないといけない」
今回、国立博物館や美術館側は、今回の方針についてどう思っているのか。番組で取材したところ、国立科学博物館は「現段階で具体的な状況を回答するのは困難」だという。そのほか複数の国立博物館や美術館などにも聞き取りを試みたが、返答が返ってきた館のすべてが「コメントは差し控える」「回答できる内容はない」とのことだった。
この姿勢に対し、中室氏は「これは回答してほしかったなという気がする。国民の税金が使われているわけだから、その説明責任は国立博物館とか美術館にもあるのではないか」との見方を示した。
(『わたしとニュース』より)
この記事の画像一覧
