丸腰ハンター最高裁で逆転勝訴「警察・自治体も責任を」“池上裁判で緊急猟銃システム開発”ガバメントハンターの最前線

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 そんな状況を受け、全国的に採用が増えているのが「ガバメントハンター」だ。自治体が狩猟免許を持った職員の採用や育成を推進。銃器に慣れた退職自衛官や警察官を採用する動きも進んでいる。

 長野県小諸市の現役ガバメントハンターである櫻井優祐氏(農林課)は、「捕獲の主役はあくまでも地元のハンター。(ガバメントハンターとは)地元のハンターにそういった捕獲の部分をつないでいく調整役」と説明する。

 小諸市は2011年、全国に先駆け狩猟免許を持つ職員を採用したパイオニアで、現在3人のガバメントハンターが所属する。「野生鳥獣対策の行政事務もこなしつつ、ハンター目線で現場に入ってハンターをつないでいく。私の方で猟銃を持ってきて、クマの方を捕殺する。駆除する。それは当然ある。割合とすれば半々」(櫻井氏、以下同)。

 狩猟免許を持った職員が民間ハンターと連携し、負荷を軽減させるのが主な役割だという。2026年3月、小諸市は大町市と共同で「信州ガバメントハンター協議会」を設立。ここにも池上裁判の影響が多分にあるという。

「緊急銃猟をやるとなると、警察も関わってくる、県も関わってくる、猟友会も関わらなきゃいけない。そういう中で市町村担当者が全てを統括して進めていかなければいけない。これは大きな負担と責任になっている」

 変わりゆくクマ駆除の現場で、自治体の担当者が決断を求められる局面が増え、負担も甚大になっている。協議会では、誰がどのように判断して発砲に至ったのか、その過程をスマホで見える化するなど、管理システムを構築。責任の所在を明確にするとともに、迅速な判断をサポートするという。

「(システム開発の)背景にあったのが、北海道(池上氏)の事件が一番大きい部分になっていると聞いている。私自身も今回の事件、個体(クマ)の状況を注視して、『もうちょっと安全な場所に動くまで待ちましょう』とか、いろいろなケースバイケースでの判断が、ガバメントハンターが現場にいたら、ハンターさんとやりとりができたかもしれない」

 また、各自治体の担当者同士で、情報の共有や相談ができるコミュニティも作り、現場担当者の孤立化を予防する役割も。まずは長野県内から始め、全国にも広げていきたい考えだという。

 今後、クマ駆除の現場はどう変わっていくのか。政府はクマ被害対策のロードマップを決定。クマ被害の多い都道府県では、2030年度までに個体数を現在の6〜7割程度までの減少を目標に掲げた。そのため、各自治体ではガバメントハンターなど対策に関わる職員数を、現在の3倍にあたる2500人に増やす構えだ。

 池上氏は急務とされるガバメントハンターの育成について、こう語る。「(駆除の現場に出られるのは)通常は10年って言っているけど、人による。自分で銃がなくても戦うって気持ちを持たなかったら無理だ。戦えない。私は出る時は胸にナイフ持って、そして銃を持つというパターンが通常パターンだ」。

「クマと共存はできない」
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