■「占い」化する民間ビジネスへの警鐘
現在、ネット等で数万円程度で購入できる民間検査キットの多くは、この「多因子病」や「体質」を対象としている。しかし、その科学的根拠については専門家から厳しい目が向けられている。
番組が取材した30代の男性は、約3万円の検査キットを利用し、「油物で太りやすい」「満腹中枢が遅れて反応する」という結果を得て、食事制限に励んでいた。しかし、これに対して国際医療福祉大学大学院の西垣昌和教授は「ほとんど根拠はない」と断言する。西垣氏は「そもそも快楽を感じるってどうやって測定するのか」と疑問を呈し、こうした検査は海外では「星占いビジネス」とも呼ばれていると明かした。
番組に出演した会社員の園田ゆきこさんの体験談は、民間検査の信憑性の危うさをさらに浮き彫りにした。園田さんはA社とB社の2つの検査を受けたが、その結果はまばらだったという。
「2つ受けてみて、その会社によって合っている部分と違っている部分が結構まばらに出ていた。どちらかが合っているかとも言いづらいところが非常にあった」とし、具体的な項目では「ニコチン依存度」がA社では低い、B社では高いと出たほか、「睡眠時の歯ぎしり」についても一方は少ない、もう一方は多いという真逆の結果が出た。
こうした現状に対し、高田氏は「ビジネスで行われているものは、そういうもの(科学的根拠)は一切関係なくて、例えば論文1つで『科学的根拠がある』と販売するものもある」と指摘。根拠が非常に希薄だったり、でたらめだったりするものが商品として売られている現状に「これはアウトだろう」と警鐘を鳴らした。
アンジェリーナ・ジョリー氏の公表は、日本の医療界にも衝撃を与えた。「遺伝学会と、乳がん学会、婦人科の卵巣癌を扱っている学会で団体を作った。(発症していない)患者ではない人たちが病院に怒涛のように押し寄せた」。不安を抱えた人々を適切にサポートするため、専門家たちが一丸となって対応組織を構築せざるを得ない状況になったという。
現在、日本でも特定の条件を満たせば、こうした高度な遺伝子検査を保険診療で受けられるようになっている。しかし、高田氏によれば、日本では長年「病気のない者は患者ではない」という概念が壁となっていた。遺伝子に変化があるだけでは「病気」とは呼ばないという考え方だ。近年ようやく、アンジェリーナ・ジョリー氏のように症状が出る前の段階でも、適切な医療として介入できる体制が整い始めている。
ただし、これはあくまで「医療」としての慎重な判断が伴うものだ。親戚に乳がん経験者がいる場合であっても、高田氏は「それだけではダメ」と答え、家族が「遺伝性」の診断を受けているか、あるいは若年性での発症かなど、個別の専門的な判断基準があることを強調していた。
(『ABEMA Prime』より)

