■こども家庭庁のモデル事業がスタート
卵子凍結への補助について、国は「広義の医学的適応のためのデータ収集の研究事業」と位置づけている。未婚・事実婚なしの原則18〜35歳が対象となり、卵子凍結費用を一部助成(20万円)。凍結後10年ほど追跡調査する。
すでに東京都では補助制度があり、在住18歳~39歳までの女性を対象に、実施年度で上限20万円助成(1回のみ)。保管後、毎年2万円支給も行っている(2028年度まで)。
こども家庭庁の卵子凍結は、希望する都道府県で実施するモデル事業。目的は「広義の医学的適応の対象範囲検討のため、健康な女性も含めたデータ収集の研究事業」だ。事業費は全額を国が負担するが、現時点で希望する自治体はまだない。また、卵子凍結に関する正しい知識の普及啓発も併せて実施する。
「35歳まで」の根拠として、こども家庭庁は“日本生殖医学会の指針に従った”としている。日本生殖医学会ガイドラインには「凍結・保存の対象者は成人した女性で、未受精卵子等の採取時の年齢は36歳未満が望ましい」と書かれている。
遠隔医療サービス「産婦人科オンライン」代表で、産婦人科医の重見大介氏は、「こども家庭庁の資料をよく見ると、かなり研究色が強い。『卵子凍結の妥当な年齢範囲があまりわかっていないため、健康な女性のデータを集めて、社会的意義を検討する必要がある』との文脈で検討されている。そのため、これで『35歳まで公費補助』と決まるわけではないだろう」と考察する。
一方で、「研究機関や国の仕組みが、メッセージを与えるのは事実だ。もっと丁寧に、根拠や意図を発信する必要がある」とも考える。「医学的データでは、凍結時の年齢が35歳を超えると、最終的な出産率は落ちていく。使われる卵子は、大体どの論文でも1割前後で、自然妊娠もあれば、パートナーが見つからなかった人もいる」。
使われないケースを考えると、「公費を使うなら、費用対効果の面で、ある程度の線引きが求められる」としつつ、「データを集めるモデル事業としては、『36歳以上のデータを取らなくていいのか』という観点もある。慎重に検討していただきたい」とした。
■卵子凍結、どれだけ大変?
