◾️性別以外にも不平等は存在 大学が発信すべきこと
大学入試に関する河合塾のテストを受けた人を対象にした調査では、2023年に比べて2024年は女子枠賛成派が減少した。賛成派からは「女性が増えることによって男性とは違う視点を加えられる」などの意見があがる一方、反対派からは「理系に進む女子が少ない根本的な原因がなくなるわけではない」などの意見があがった。
反対の声にある「根本的な原因」として、中野氏は幼少期からのジェンダーバイアスを挙げる。
「2026年になっても、ジェンダーバイアスは依然として根強く残っている。赤ちゃんは生まれた時から、洋服やおもちゃが『女の子っぽいもの』『男の子っぽいもの』に分けられている。大人たちの態度、親や教師、子どもに関わる人たち、あるいはメディアも、『男の子ならロボットやレゴが好き、女の子ならぬいぐるみが好き』といった固定観念がある。年齢が上がると女の子は外見を整えるコスメ系のおもちゃやコンテンツにかなりさらされる。そういった環境の中で、そもそも理工系への関心や勉強を頑張ることに対して、男の子と女の子で周囲の期待が違っているのではないか。そうした根底の部分から変えていかなければいけないと思う」
ただ、経済的状況や地方出身であることなど、入試や進学先の選択に不利となりうる要素は性別だけではない。こうした問題に対してはどう対応していけばよいのか。
「地方出身者や、ファーストジェネレーションと言って家族が大卒ではない子など、『女子であること』以外にも不利益を被ったりマイノリティであったりした経験を持っている方はいるはず。そうしたところも考慮して、多様性枠のような形でできるといいのかなとは思う」
「しかし、実際に制度設計するのはすごく難しいところもあるかもしれない。例えば、経済的な状況にしても、親のキャッシュフローは確認できても資産の有無はどうするのか、また、親がその子供を援助してくれるかどうか、ということは別だったりもする。何かを評価すると、それに合わせて考慮しないといけないことが増えるので、ある意味女子枠は、確定しやすい属性ではあるのかと思う」
そのうえで、女子枠に対する「不公平感」の根底には、日本の入試制度や社会構造の問題があると指摘する。
「そもそも日本はペーパーテスト信仰が強いが、ペーパーテストなら不公平ではないかと言えばそうとは限らない。環境によって、ペーパーテストで答えるような学力を身に付けるのが難しい人もいれば、別の才能に秀でている人が評価されにくい側面もある。『本来同じペーパーテストで通るべきなのに、ズルをしているのではないか』といった見方があるが、AO入試や学校推薦など別の試験形態も広がっている。それぞれに富裕層に有利なんじゃないかとか、学校の先生に気に入られる優等生しか取られないとか問題もあるわけだが、女子枠は属性でわかりやすく批判がされやすい」
「日本は大学受験がゴールになりやすく、入学したことがステータスになってしまっている。『どこの大学に入るかはそんなに重要ではなく、大学で何を学んだかが重要』という社会や『得るべきものを得ないと卒業できない』という形であれば、入り方や入った大学がどこであれ、『この大学に女子枠のせいで入れなかった』という不満は大きくならないのでは。実際は企業も学歴や大学名を見ているところがある」
(『わたしとニュース』より)
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