■「みんな普通の人」…弁護士が語る人権保障とあるべき制度の姿
手弁当で積み上げられてきた歴史がある一方で、当番弁護士の登録者数の減少という現実がある。その背景について、三輪氏も報酬の低さを指摘する。
「逮捕後の当番弁護士とその後の被疑者国選がほとんど連動している。当番はその日だけでいいが、その後の国選弁護の活動を考えるとかなり拘束される。それなのに報酬が安いというのは大問題だと思う」
弁護士たちも経済的な理由で過剰な報酬を求めているわけではないが、割に合わない現状があるという。
「確かにお金はもらえるけど、『(現状の報酬なら)やらない方がマシだよね』となってしまっている状況にあり、ある意味弁護士も追い込まれている」
しかし、登録者数が減ってしまえば、最終的に困るのは国民だ。
「世の中の人は、『逮捕される人は自分とは全く違う』『別の世界の人』と思っている人も多いと思うが、私が当番弁護士や被疑者国選、被告人国選をやってきて、その時に担当した方々はみんな普通の人。そこをわかってほしい。みんな普通の人だけれど、ある日突然、身に降りかかってくる」
さらに、弁護士の数が多い都市部であっても、課題は根深いようだ。
「例えば、東京都はものすごく多い。しかし、これは自戒の念も込めてだが、逆に『たくさんいるから自分がやらなくてもいい』『誰かやってくれるでしょ』という良くない考えを正直私自身が思っている部分があるから、そういう気持ちが市民の人権保障を弱まらせているのかもしれないと思ったりする。しかし、誰かがやってくれればそれでいいのではない。誰かがやるための仕組みは本当にこれでいいのか。自分がやらなかったとしても、この制度はこのままでいいのか。そういう問題意識を持つべきだし、この情報発信はしていくべきだと思っている」
強き者を守るのも、弱き者を守るのも同じ弁護士の仕事だ。
「どんな人であれ人権の価値に変わりはない。お金をたくさんかけて私選弁護士に十分な弁護活動をしてもらえる人しか無罪判決が勝ち取れない世界は怖い」
誰もが当事者になり得るからこそ、人権を守る「司法の救急車」を持続可能な制度としてどう支えていくのか、社会全体で議論を深める必要がある。
(『わたしとニュース』より)
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