そんな大一番で強靭なメンタルを見せた柵木五段だが、実は奨励会時代、重圧に押しつぶされ結果を出せない時期が続いていた。名古屋大学に合格し、大学院にも進学した文武両道の秀才。しかし、大学入学時は奨励会三段だったものの、そこから4年間は昇段争いに絡めず「ただただ過ぎていく日々」を過ごした。「もしかしたら四段になれない可能性が出てきた」と危機感を覚え、大学院を休学して将棋一本に絞る決断を下す。
だが、三段リーグの壁は厚く、昇段がちらつくと崩れてしまう苦闘が続く。「開幕から12戦で10勝2敗して、最終局自力だったんですけど負けて次点に」「その次の期も10勝2敗から2勝4敗」。さらに最後となった14期目も、10勝2敗から1勝3敗と失速し、「ちょっと根気もしんどくなってきた」と精神的に限界を迎えつつあった。
「過度に緊張することなくのびのび指せて、成績が出るきっかけになった対局」
