
13日も各地でクマの目撃が相次ぎました。なぜ都市の中心部にまで、クマが現れるのか。番組が専門家と行った“独自検証”で見えてきたのは、東京も例外ではない、大都会に潜む“意外な共通点”でした。(サタデーステーション6月13日OA)
日本三景「天橋立」1頭捕獲後も目撃
報告・仁科健吾アナウンサー
「きのうもこのあたりでクマの目撃情報があったということです。きょうは通常通り営業していますね」
日本三景のひとつ、天橋立では今週、クマの出没が相次ぎました。一頭は捕獲されましたが、さらに新たなクマの目撃があったことから警戒が続いています。
観光客
「きのう(通行止めが)解除だって聞いたんで、じゃあ寄ってみようかと」
「やっぱキレイですね。来てよかったと思います」
町田淳記者
「神戸市でクマが確認されたのは初めてだということです」
神戸市では、11日、イノシシの捕獲のために設置されていたセンサーカメラにクマが映っているのが確認されました。また、同じ兵庫県の西宮市では、路上を歩いているという目撃情報があり、その数分後には高速道路の路肩に2本足で立っていたという通報がありました。
北関東最大都市になぜクマ出現?
クマの出没は各地で。今週、栃木県宇都宮市の市街地に出没したクマ。商店街や、住宅地などを徘徊したことで、市民生活は混乱しました。複数のクマの可能性も否定できないとしていましたが、今月9日に一頭捕獲されたあと、目撃情報は途絶えています。
報告・田丸由樹ディレクター
「見えてきました。賑わっていますね。こちらの広場では県民の日を記念したイベントが無事に開催されました」
参加者
「天気もよくて、外で楽しいイベントで、子どもも喜んでいるんでよかったと思います」
一方で、まだ対策もしっかりと。商店街わきの広場では昨日、栃木プロレスのイベントが開催されていました。屈強なスタッフを増員することで、クマの対策を強化していました。
栃木プロレス 北村彰基選手
「前例がないので、音が出るもの。実際やっぱ本当は試合に集中したい。でもお客様の安全が大事ですし、そこを上手いこと両立してこそ本当の強いレスラーかなと」
「大都会でも起こり得る」なぜ都市中心部にクマ?3つの可能性
そもそも、人口50万人を超える北関東最大都市の宇都宮の中心部になぜクマが出現したのか?番組では専門家と共に独自検証。3つの可能性が見えてきました。
宇都宮大学 小寺祐二准教授
「ある程度必然性があったんではないかというふうに考えています」
こう話すのは野生動物の生態に詳しい宇都宮大学の小寺准教授。
【可能性(1)地形“陸の岬”】
まず指摘したのは“地形“です。注目したのはオリオン通り商店街のすぐ近くにあるこの神社。
宇都宮大学 小寺祐二准教授
「クマが現れたオリオン通りから垂直に200メートルほど真っすく行った先に神社があります。木々がかなり生い茂っていますね」
ここで、小寺准教授が指摘するのは、神社を起点とした、独特の地形です。
宇都宮大学 小寺祐二准教授
「宇都宮の市内は中央に二荒山神社という大きな神社がありまして、実はそこに向かって北部から緑地帯がずっと続いています」
宇都宮市街地の地形を見てみると、クマが走り抜けたオリオン通りの北側では緑の部分が、まるで海にせり出す岬のように、先が細くなっています。
宇都宮大学 小寺祐二准教授
「緑地に沿った道を移動して来たんだろうと思います。行けば行くほど緑地が狭くなるので。それがまさにオリオン通りと直交しているような形ですので、今回のような事案になってしまったんだろうと考えております」
小寺准教授はこうした事案は大都会でも起こり得ると警鐘をならします。
宇都宮大学 小寺祐二准教授
「数年前から危惧しているのは東京都と神奈川の間にある多摩川です。河岸段丘が奥多摩からずっと都心まで続いている。崖が伸びていますので、そこが動物の移動ルートとなっていれば、今回と同じようなことが将来的に発生する可能性があるかなと考えております」
【可能性(2)河川敷のサクラ】
もうひとつは河川敷のサクラがクマを誘導してしまった可能性です。
報告・田丸由樹ディレクター
「市内の桜並木です。桜の枝をよく見てみますと小さな実がいくつもできているのがわかります」
これはサクラの実。われわれが食べるサクランボ同様、小さいながらもソメイヨシノなどの河川敷にあるサクラもこの時期、実をつけているのだといいます。
宇都宮大学 小寺祐二准教授
「みなさん花見の時期には着目されると思うんですけど、ちょうど今ぐらいの時期は小さな小さなサクランボが枝についていたり、大量の実が落ちていたりする時期。そういったものを食べに来てしまったんじゃないかと考えています」
こうした街の風景の中にある木の実がクマの食料になる可能性もあるのです。
宇都宮大学 小寺祐二准教授
「小さなサクランボとはいっても、大量にあれば時間をかけてしっかり食べるものになる」
【可能性(3)越後・三国地域個体群が“激増”】
そして、3つ目は「越後・三国地域個体群」の増加です。今回出没したクマは栃木・福島・新潟・群馬・長野の5県にまたがる、エリアに生息するクマとして「越後・三国地域個体群」に分類されています。栃木県でクマの調査をおこなう専門家は。
東京農工大学 稲垣亜希乃特任助教
「比較的大きな個体群で、面積も大きくてですね、個体数的には非常に十分な数が安定して生息していると考えられている個体群です」
過去の生息数調査では長野県を除く4つの県で増加傾向を示していて、特に、新潟県は、推定生息数が1年でおよそ6倍となっている、可能性があると今週発表しています。栃木県も例外ではなく。
宇都宮大学 小寺祐二准教授
「十数年前までは日光を中心とした山間部にツキノワグマが主にいたんですけども近年の十数年でだいぶ低い標高のところにも分布が広がってきている。宇都宮市もやはりそれなりに定着できるような状況になってきていたのではないかな というふうに思っています」
「肩も胸もかじられた」農作業中にクマ襲撃相次ぐ
これから農作業が本格化する季節。クマの脅威は農業の現場でも。青森で10日に撮影された映像には、茂みの向こうから進んでくる黒い塊。近づいて来るのは、まるまるとしたツキノワグマ。警戒する様子もなく、ゆっくりと撮影者の車の前を通り過ぎていきました。
秋田、由利本荘市では、3日、90歳の男性が畑で作業中にクマに襲われ、ケガをしました。襲われた男性がその当時のことを話してくれました。
農作業中 クマに襲われた人(90)
「私ニンニク作ってるもんだから、それを乾かすために干す棚を作ってたのよ。ぽっと見たら、あんたと私の距離しかないところにクマがいるじゃねえか。びっくりしたよ。最後にはがばっとここを食いついてきたの。その時の傷がこれなんだよ。肩も胸もかじられたもんだから、傷ついているんだ」
12日も、田んぼの脇を歩くクマの姿が目撃されていました。
クマを目撃した人
「これがクマの足あとなんだよ。1メートルちょっとはあったと思う。他の方では出てるけどもよ、ここでは初めて」
秋田・由利本荘市では5月末からクマの目撃が相次いでいて猟友会も箱わなを設置して警戒に当たっています。
由利中央猟友会 遠藤勇喜会長
「ワナ見に行くときは気をつかう。やっぱり一回人身事故起こしたクマだと思っているから」
工場内を歩いていた人にとびかかるなどして男女4人にケガをさせたとみられる福島市のクマ。今も周辺の畑では目撃情報が。カボチャを育てる男性の畑にも。
市内で野菜を育てる人
「これ。これがクマの足あとだっていうことです。横断してるんですね。向こうにね」
宇都宮クマは出没前にある“予兆”が
全国的に増えるクマの出没。宇都宮のケースでは“ある予兆”があったと指摘します。
宇都宮大学 小寺祐二准教授
「2023年にイノシシがまさに栃木県庁ワキで徘徊をして駅前の大通りをですね。移動してしまったという事案が発生していました」
イノシシの出没です。一般的に野生動物は繁殖能力が高い順に数を増やします。山が繁殖に適して、数が増えすぎてしまった場合、イノシシ・シカ・クマの順に、早く市街地に出てくるのだといいます。
宇都宮大学 小寺祐二准教授
「特に今回 ツキノワグマが移動したルートというのは23年にイノシシが移動したルートと合致しています。突き出した緑地というのは、動物を誘導しやすいものなのではないかなという風に考えています」
同様の地形は全国各地に存在し、こうした予兆には注意が必要です。
