
学校での「いじめ」の認知件数が過去最多になる中、子供たちの間でますます巧妙化する“ネットいじめ”。大人が気づけないその実態を追いました。(6月13日サタデーステーションOA)
【画像】被害者取材で見えたネットいじめの“巧妙化” 全国のいじめ認知件数過去最多に
全国のいじめ認知件数は過去最多に
横浜市の小学校で行われていたのは、いじめ問題について児童自身が主体的に考え、話し合う「横浜子ども会議」。全国のいじめの認知件数は、最新調査でおよそ77万件と過去最多を更新しました。横浜市では去年、いじめ対策課を新設するなど取り組みを強化。危機感が高まっています。
横浜市立綱島東小学校 土井純校長
「ここにきて顕著になっているのは、SNSでいじめが発生していること。こどもたちの世界にも入ってきていると感じている」

SNSなどのインターネットを用いて、相手に精神的苦痛を与える“ネットいじめ”。10年前と比べ、およそ3.5倍に増加しています。
被害者を“暗号化”大人に気づかれにくく

子どもたちの間でいま何が起きているのか。サタデーステーションは、堺市が重大事態として認定したいじめ被害に合った当事者を取材。

見えてきたのは、いじめ手口の「巧妙化」です。大阪府・堺市に住む高校生の鈴木さん(仮名)。中学校3年間、SNSなどでの暴言や仲間外れなど、多くのネットいじめに遭いました。
ネットいじめの被害者 鈴木さん(仮名)
「主犯格のTikTokがあって、新しい投稿があると思って見たら、 09とゴリラの絵文字があった」
加害者が投稿したのが、09、アホ、ゴリラ、美術部という文字。実は「09」という数字は、鈴木さんの出席番号だといいます。名指しをしないことで、被害を訴えにくくするだけでなく、大人たちには気づかれないようにしているとみられます。
ネットいじめの被害者 鈴木さん(仮名)
「公開処刑というか、私とその子のやり取りの中なら、まだ言われてショックぐらいだったが、他の子にも見られるショックもあり、さらにしんどかった」
“なりすましアカウント”で被害者を悪者に
巧妙化によって、最近の手口はより凶悪なものへと変化しています。学校から依頼を受け、SNSやネットの掲示板などを独自にプログラムした検索システムと人の目で監視する会社。最近多いのが被害者に「なりすます」手口です。
アディッシュ株式会社 ネットいじめ対策の担当者
「いじめられている側になりすましたアカウントを作り、卑猥な投稿を行う」

ケースのひとつでは、加害者がSNSで被害者の名前を使い、新たになりすましたアカウントを作成。被害者のものだと思わせた上で、同級生の名前と共に暴言や卑猥な言葉などを投稿。被害者が悪者となる状況を仕立て上げるのだといいます。
さらに、別のケースでは、最先端の技術を悪用した手口もあります。
アディッシュ株式会社 ネットいじめ対策の担当者
「生徒の画像を勝手にAIを用いて加工して、性的な画像に加工した上で仲間内で回しあう」
生成AIを用いて被害者の写真に悪質な加工をするなど、高機能化するツールにより、その深刻さも増しているといいます。
アディッシュ株式会社 ネットいじめ対策の担当者
「我々が見えないところでいじめがどんどん深刻化してしまっていて、見つかった時にはかなり進行している状態。そういったところがかなり難しい課題です」
手口の「巧妙化」は、いじめの発見を遅らせることにも繋がります。NPO法人によるいじめ相談の現場では、巧妙化が加速していくと感じています。
いじめ相談を受けるNPO法人 阿部泰尚さん
「24時間で消えるメッセージを使ったり、プロフィールのところにわかる人が見ればわかる内容で相手をけなしたりする」
こうした特徴から、阿部さんは学校側の対応の難しさも指摘します。
いじめ相談を受けるNPO法人 阿部泰尚さん
「SNS全般、メッセージアプリも含めて、学校では管理する権限もないし、管理することもまずできないと思うので、先生たちも証拠を見てから初めて知る」
いじめの“芽”を摘む「いじめ対策監」とは
難しい課題に、教育現場はどう対応すればいいのか。独自の取り組みで一定の成果をあげているのが岐阜市内の小学校です。
相談に来た児童
「下の名前を馬鹿にしながら通っていくみたいな、すごい腹立って!」
相談を受けているのは、「いじめ対策監」の古田さん。女子児童によると、登校中に別の児童から悪口を言われたと話します。その後、教員らと迅速に情報を共有し、それぞれの児童を丁寧にケアしながら、悪化する前に解決に導きました。古田さんのような「いじめ対策監」は、研修をつんだ教員らで構成され、市の教育委員会から市内の小中学校など69校に配置。いじめの予防や対策を専門に行なっています。
いじめ対策監 古田隆洋さん
「子どもたちの会話でちょっと気になる会話があったから、それどういうことか聞いてみたら、実はSNSのトラブルだったということはあるので、そういう子どもたちの会話を気にしていくことが大事かなと思っています」
こうした取り組みにより、いじめにつながりかねない多くの芽を摘むことに成功しています。
いじめ対策監 古田隆洋さん
「いじめは本当に先に進めば命に関わる大きな問題なので、たとえ授業中であっても優先されるべきもの。何か起きる可能性があるならその前に止めることが大事」
