「音が殺意に」新聞の音で75歳男が乗客切り付け…音量は無関係「敵のルール違反判定」が引き金に “アージ理論”を専門家が解説

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 では私たちは普段、どんな音にイラついてしまうのか。ある調査では、職場で“音”によるストレスを感じたことがある人は98%であることがわかった(株式会社ウェブギフト『オフィスギフト』調査)。その1位は「ため息」や「舌打ち」、2位は「談笑する声」、3位が「キーボードのタイピング音」さらには「引き出しやドアを乱暴に締める音」や「クチャクチャ食べる音」なども。

 音の専門家・東京工芸大学工学部の森山剛教授は「くちゃくちゃくちゃくちゃ食べている、何を食べているのかが分からない。人の話し声が気になる時も、何を話しているかがはっきり分からない。カシャカシャカシャっと何か激しく打ち込んでいるけれども、何を打ち込んでいるのかは見えない。そのものを理解するには情報が足りないというのが人にとっては不快で仕方がない」と指摘する。

 同アンケートの調査には注目すべき回答があった。8割以上が「誰が出した音かで、不快の度合いは変わる」と答えたことだ。嫌いな人の音は、仲のいい人の同じ音より大きく聞こえる。同じ音なのに評価が割れる。ここに大きなヒントが隠されている。建築音響を専門とし騒音問題に詳しい熊本大学の川井敬二教授に、そのヒントを解く鍵となる見解を聞いた。川井教授は、騒音をめぐって保育園が近隣住民の反対で開園できない問題の解決などにも長年取り組んでいる。

「音はどこからの音も聞こえてしまう。目だったら見なければいい、というところがない。もともと音は、敵とかそうしたものを感知する感覚器官なんじゃないかと。怒りを持っているというのは、非常に合理的だった。原始時代、敵が縄張りに入ってきた時、怒ることで撃退できた」(川井教授、以下同)

 川井教授が挙げたのは心理学者・戸田正直氏が唱えた「アージ理論」だ。「アージ」とは人を有無言わさず駆り立てる強い衝動のこと。猛獣に襲われる野生の時代、考える前に恐怖で逃げ、怒りで立ち向かう、その瞬間の感情こそが生き延びるための合理的な“プログラムだった。

「聴覚という感覚が『怒り』感情というものに結びついている可能性はある。音があるというよりは、聴覚というものが止められずに周りの音を拾ってしまうので、きっかけとなりやすいというのは間違いないと思う」

なぜ新聞のめくる音で殺人未遂となったのか
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