■「修正すると別の歪みが出る」Geminiの補正が示したジレンマと多様性の模索
こうした偏りを減らすため、開発側は人為的な調整を試みてきた。しかし、その調整自体が新たな困難を生んでいる。
2024年、Googleの生成AI「Gemini」に「1943年のドイツ兵」と入力すると、黒人やアジア系の人物で生成されることが判明。Googleは人物画像の生成を一時停止し、公式ブログで「一部では補正が行き過ぎ、別の場面では慎重になりすぎた」と説明した。平野氏は、こうした調整の難しさを次のように明かす。
「男女差別や一部の人種差別、そういったことがあると良くないよね、というのは開発側も思っている。そのため、いろいろな人種を出しましょうと修正をかけた。そうしたら、ああいうことが起きてしまった。どうしても何か1つ対応をすると、他の歪みが出てくる」
バイアスを放置すれば実社会の偏りも強化される可能性があり、修正すれば事実と異なるものが出てくる可能性がある。こうしたジレンマをどうしていけば良いのか。
「歪みをすべてなくすことは不可能だと思うが、それでも全くしないよりかはマシだと思っている。それ(AIの出力)を子どもたちが見ると、どうしても真に受けてしまうだろう。少しは間違いなどがあったとしても、大切なのは私たちがどういう社会を目指したいのかで、それがどういう風に反映されているのかだ。何百年、何千年も蓄積してきたバイアスは一瞬で変わるものではない。でもちょっとずつAI側も現実の社会も変わっていくしかないのかなと思う」
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